消費税10%スタート 3度目の引き上げ 軽減税率を初導入 

▲ キャッシュレス決済への対応を進め、消費税率引き上げ初日を迎えた店舗

 消費税率が1日、8%から10%に引き上げられた。平成元年(1989)の導入以来、3度目の引き上げ。増収分をすべて社会保障にあて、これまでは高齢者中心だった施策を子育て世代にも充当し、「全世代型」へ転換を図ろうとの狙い。これに合わせ、外食・酒類を除く飲食料品と定期購読の新聞は、8%のまま据え置く軽減税率が初めて導入された。また、中小店舗でのキャッシュレス決済ポイント還元もスタートした。


キャッシュレス還元も

 

 消費税率は導入時3%に設定され、同9年(1997)に5%、26年(2014)に8%となった。10%への引き上げは当初、27年(2015)10月に予定されていたが、世界経済の減速などを理由として2度にわたって延期されてきた。
 増収分は社会保障の安定化と充実にあて、▽待機児童の解消▽幼児教育・保育の無償化▽高等教育の無償化▽介護職員の処遇改善▽高齢者の介護保険料軽減▽年金生活者支援給付金の支給─―を展開する。
 家計への影響を緩和しようと、初導入されたのが軽減税率制度。飲食料品を持ち帰るテークアウトの場合は8%適用だが、店内で飲食するイートインの場合は外食として扱われて10%が適用されるなど、商品やサービスの違いによる線引きは複雑だ。
 新税率対応のレジやシステム導入、申告・納税にかかる記帳など、事業者の業務も煩雑・多忙化。引き上げ初日は、対応のために通常より開店を遅らせる店舗も見られた。
 軽減税率とともに始まったのが、キャッシュレス・ポイント還元事業。引き上げ後の9カ月間、事業に加盟した中小・小規模事業者の店で買い物をした際、クレジットカードや電子マネーなどで決済すれば、5%(フランチャイズチェーンやガソリンスタンドに属する店は2%)がポイントとして還元されるもの。
 気仙では小売や飲食などで対応が進む。大船渡市大船渡町のキャッセン・モール&パティオ内で衣類や雑貨などを販売する「モン クール&スミレ」の鈴木隆也代表(59)は、「キャッシュレス決済の利用は10~15%にあたり、特に旅行客が多い傾向」と話し、「賢く利用してもらい、お客さまにプラスになってくれれば、店としてもありがたい。カードを持たずアプリもないというお客さまが多い現状もあり、国にはもっと事業のPRを図ってほしい」と要望する。
 スーパーマーケットのマイヤ全店では、既存のポイントカードからキャッシュレス決済還元対応タイプへの切り替えを推奨。陸前高田市高田町の高田店では切り替えや新規登録を行う人は8月は100人程度だったが、9月は730人ほどが申し込んだ。1日はさっそく支払いに利用する客たちの姿が見られた。
 同店の藤倉久仁昭店長(60)は「チャージ機も釣り銭が出るタイプのものに変え、お客さまの利便性が向上した。当店のポイントと二重にたまる仕組みになっており、積算していくと結構な額になる。9月でかなり切り替えが進んだが、報道などでもお得だという理解が広がっているので、今後もまだ増えると思う」と話していた。
 増税初日に買い物をした人たちからは、「必要最小限のものだけ買った。キャッシュレスは使っていない。今回の増税は分かりづらい」(大船渡町、67歳女性)、「イートインが10%になっても今まで通り利用する。キャッシュレスは、使い方が分からない」(気仙町、72歳女性)、「年金暮らしの身としては増税は痛い。何が軽減税率の対象なのかはっきり分からない」(高田町、65歳女性)などの声が聞かれた。引き上げに伴う制度の浸透はまだまだという状況で、一層の周知が求められている。
 このほかの負担軽減策として、住民税非課税世帯や子育て世帯の家族を対象としたプレミアム付き商品券の販売も実施。消費額が大きい車や住宅の減税メニューも設けられた。過去の増税後には落ち込んだ消費動向に注目が集まる。


プレミアム付き商品券販売開始   大船渡

 

大船渡でもプレミアム付商品券の販売を開始

 大船渡市の住民税非課税世帯や子育て世帯を対象としたプレミアム付き商品券の販売は同日、盛町の大船渡商工会議所で始まった。1セット(1000円券5枚)5000円分の商品券を4000円で購入できるもので、会場には市民らが次々と訪れて商品券を買い求めた。
 同商議所2階に設けられた販売会場には、午前9時の開始以降、引換券を手にした市民が来場。赤崎町の60代女性は「普段の買い物に使い、いくらかでも節約に役立てば」と話していた。
 同商議所では、来年2月末までの平日に商品券を販売。出張販売も予定しており、今月17日(木)は①吉浜地区拠点センター②三陸公民館、18日(金)は①綾姫ホール②赤崎地区公民館、23日(水)は①蛸ノ浦漁村厚生施設②猪川地区公民館、24日(木)は①立根生活改善センター②日頃市地区公民館、25日(金)は①大船渡地区公民館②末崎町ふるさとセンター。時間は、①が午前10時~正午、②が午後2~4時。
 対象は、①平成31年度住民税非課税者(課税基準日は同年1月1日、住民税課税者と生計同一の配偶者・扶養親族、生活保護被保護者等を除く)②28年4月2日から今年9月30日までの間に生まれた子が属する世帯の世帯主──のいずれかに該当する人。
 ①は11月29日(金)までに申請のうえ、購入引換券が必要。②は申請不要。申請は市役所商工課、三陸支所、綾里、吉浜各地域振興出張所で受け付けており、早めの手続きを呼びかける。販売問い合わせも同課(℡27・3111内線109・111)へ。
 陸前高田市と住田町では地域販売をすでに実施しており、陸前高田は6日(日)午前10時~午後2時にアバッセたかたで子育て世代集中受け付けも行う。問い合わせ先は陸前高田市が子ども未来課子育て支援係(℡54・2111内線204・205)、住田町は保健福祉課福祉係(℡46・3862)。