定住自立圏形成協定を締結 一層の連携強化図る 大船渡市と住田町(別写真あり)

▲ 大船渡市と住田町が「定住自立圏形成協定」を締結

 大船渡市と住田町は2日、定住自立圏形成協定を締結した。住民らがいつまでも住み続けたいと思う魅力ある定住自立圏の形成に向け、両市町が連携、協力し、都市機能の整備や生活機能の確保に取り組むもので、県内では4例目。両市町は今後、圏域における具体的な取り組みなどを明記した「定住自立圏共生ビジョン」の策定に向け、民間や地域関係者も参画した協議を進め、令和2年度中にはビジョンに位置付ける事業の実施を目指していく。

 

住み続けたい地域構築を 今後は「ビジョン」策定へ

 

 定住自立圏は、一定の要件を満たした市(中心市)と近隣市町村が連携、協力し、必要な生活機能等を確保することで地域における定住の受け皿を形成するもの。気仙では2市1町による検討を経て、大船渡市が中心市となり、まずは住田町と形成を進めることとした。
 両市町議会では今年6月、定住自立圏形成協定の議決に関する条例案を可決。8月29日には、大船渡市が圏域として必要な生活機能の確保に関し、中心的な役割を担う意思を有することなどを明らかにする「中心市宣言」がなされた。
 今回の協定締結は、大船渡市議会と住田町議会のそれぞれで議決されたことを受けて実施。締結式は同市役所で開かれ、戸田公明市長と熊谷昭浩市議会議長、神田謙一町長と瀧本正德町議会議長が臨んだ。
 趣旨説明に続き、戸田市長と神田町長がそれぞれ協定書にサイン、押印した。
 戸田市長は「協定に調印できたことは、大変大きな喜び。定住、自立を目指し、住みたい、住み続けたいと思えるまちづくりを進めるためには、それぞれの地域特性を生かしつつ、共通課題の解決に向けて連携をさらに深めながら、生活に必要な機能などを確保、充実させることが肝要。当市と住田町においては定住自立圏を形成し、相互に役割を分担しながら圏域としてのスケールメリットなどを生かした各種の取り組みを鋭意検討、推進していきたい」とあいさつ。
 神田町長は「協定に調印し、圏域のまちづくりへ新たな一歩を踏み出せたことは大変うれしく、大きな喜びを感じている。近年、住民ニーズが多様化し、一自治体だけでは解決できない分野も山積している。そういう分野で連携して課題解決に向けて取り組み、住みやすい、安心して快適に暮らせるまちづくりを進めていくことが肝要と考える。これまで以上につながりを深め、当圏域がより一層発展するよう祈念したい」と力を込めた。
 熊谷市議会議長と瀧本町議会議長もあいさつを述べ、両市町がこれまで以上に連携を強め、定住自立圏を形成していくよう期待を寄せた。
 協定書には、定住自立圏の形成に関し、目的や基本方針、連携する政策分野および取り組みの内容並びに役割分担、費用負担、協定の廃止など全7条を掲載。
 このうち、連携する政策分野は▽生活機能の強化▽結びつきやネットワークの強化▽圏域マネジメント能力の強化──の三つ。さらに事項を分け、役割分担にも言及している。
 連携する政策分野のうち、「生活機能の強化にかかる政策分野」では、①医療(地域医療体制の充実)②福祉(地域福祉の充実)③教育(公共施設の利用促進)④産業振興(広域観光の推進、産業振興の推進)⑤その他(廃棄物リサイクルの推進、消費生活対策の充実)──を設定。
 「結びつきやネットワークの強化にかかる政策分野」には、①地域公共交通(交通ネットワークの維持・確保)②地域内外の住民との交流・移住促進(移住・定住の促進)──を、「圏域マネジメント能力の強化にかかる政策分野」には①圏域内市町の職員の交流(職員合同研修などの実施)──を掲げている。
 協定締結を終え、今後は圏域の将来像や協定に基づき連携して推進する具体的な取り組みなどを明記した「定住自立圏共生ビジョン」の策定に向けた作業に入る。策定にあたっては、両市町の民間や地域関係者で構成する「圏域共生ビジョン懇談会」による協議、住民らに対するパブリックコメントも予定。2年度の早い時期には、同ビジョンに位置付ける取り組みを進めたい考えだ。