「海中熟成体験」で最高賞 広田湾遊漁船組合が受賞 産業観光まちづくり大賞 陸前高田
令和元年10月4日付 1面

全国産業観光推進協議会と日本観光振興協会主催の「第13回産業観光まちづくり大賞」の表彰団体が決まり、最高賞の金賞に陸前高田市の広田湾遊漁船組合(大和田晴男会長)が選ばれた。広田湾の海中で地酒を熟成させる体験型観光サービスが、独自性があり、今後発展が期待される先進的な取り組みとして高く評価された。
独自性、先進性評価される
同大賞は、観光まちづくりを実践し、地域の模範となる優れた事例を表彰する制度で、平成19年度に創設された。産業観光に取り組む地方自治体、観光協会、商工会議所、NPO、商店街、企業などを対象に幅広く募っている。
広田湾遊漁船組合は、遊漁船資格を有する漁業者で結成。26年から同湾産海産物のPRを目的に漁業体験や加工品開発、魅力発信に当たっている。
29年11月には、他業種とも連携しながら地元産海産物の認知度向上、地域経済の活性化を図ろうと、地酒の海中熟成をプロジェクト化。海中は安定した温度や潮の流れなどが酒の熟成を促し、まろやかな味わいにするとされ、カキやワカメの養殖施設に酒をつるす熟成体験サービスを観光客向けに提供している。
プログラムの中には、漁場見学やカキむき、ワカメの芯抜きなどの漁業体験も組み込み、参加者と漁業者らとの交流を図っている。酒以外にジュースなどの海中熟成も試験的に取り組むほか、地元で栽培される果物の収穫体験なども季節ごとに実施し、陸前高田ファンの獲得を目指している。
審査では、取り組みのユニークさ、産業間連携、地域連携を取り入れたプログラムの構成力の高さに加え、震災からの復興を後押しするプロジェクトとして高く評価された。
同組合事務局の鍛治川直広さん(39)は「プロジェクトが動き出して日が浅い中で、大変栄誉ある賞をいただき恐縮している。差別化を図ったプログラムやストーリー性のある打ち出し方を専門家から評価されたのはやはりうれしい」と喜ぶ。
表彰式は25日(金)、大阪府大阪市での「第19回全国産業観光フォーラム」式典で行われる。