海中清掃通じエール 大船渡の越喜来湾訪れ 東京の南谷さん

▲ 越喜来湾でボランティア清掃に参加した南谷さん

 エベレストなど7大陸最高峰(通称・セブンサミッツ)登頂の日本人最年少記録保持者で、東京の早稲田大学に通う南谷真鈴さん(22)は5、6の両日、大船渡市三陸町の越喜来湾で、海中の清掃ボランティアを行った。東日本大震災後に海底にたまったがれきの処理作業に携わった南谷さんは、復興が進む岩手・大船渡へエールを送った。
 山岳活動やマリンスポーツなどが趣味の南谷さんは、平成27年に南アメリカ大陸のアコンカグア(アルゼンチン)を制覇したのを皮切りに、南極を含む各大陸の最高峰登頂に挑戦。翌年7月には北アメリカ大陸のデナリ(アメリカ)を当時19歳の若さで制し、セブンサミッツの日本人最年少記録を更新した。
 東日本大震災後は、両親が岩手出身という縁で、東北の復興や地域活性化に思いを寄せている。
 今年8月には、岩手、宮城、秋田の3県にまたがる栗駒山で行われた『山の日』に伴う清掃登山と、一関市で開かれた講演会に参加。その際、知り合った同市職員に、自身がダイビングライセンスを所有していることを話し、沿岸での被災地支援の相談を持ちかけた。
 そこから、同市職員と交流のある大船渡市農林水産部水産課の海山忠課長補佐の仲介で、越喜来のNPO法人三陸ボランティアダイバーズ(佐藤寛志理事長)にボランティア活動への協力を依頼。佐藤理事長(45)が、南谷さんの熱意に快く応じた。
 5日は、南谷さんや同法人のダイバーら4人が、浪板漁港周辺の海中でボランティア活動を実施。休憩を挟みながら約4時間、漁業で使われるロープや船の破片などを拾った。
 6日も鬼沢漁港で同様の活動を行う予定。
 南谷さんは「人が優しく、ご飯もおいしい岩手が好き。震災後、こうした活動をしたいと思っていて、今回実現することができた」と笑顔を見せ、「今後も岩手と関わり、自分にできることを精いっぱいやりたい。他のダイバー仲間と大船渡をつなげるきっかけにもなれば」と語った。
 佐藤理事長は「新しい仲間を迎えられてうれしい。ボランティア活動の中で海の様子も見てもらい、震災後復活した魚など、復興の現状にも目を向けてもらいたい」と息の長い交流に期待していた。