今泉に農業テーマパーク 再来年3月開業目指す 陸前高田
令和元年10月10日付 1面

ワタミ㈱(東京都大田区、渡邉美樹代表取締役会長兼グループCEO)は、陸前高田市気仙町の今泉北地区に農業テーマパーク「ワタミオーガニックランド」を整備する計画を明らかにした。農場や牧場、養鶏、工房、ショップ、レストラン、再生可能エネルギーの発電施設、宿泊施設などを設け、再生可能エネルギーを活用した循環型6次産業モデルを具現化する施設と位置付けており、令和3年3月の開業を目指す。年間35万人の来場者を見込み、同市の交流人口拡大の一助としたい考えだ。同社は今月24日(木)、この整備にかかり同市と協定を締結する。
ワタミグループが整備へ
年間35万人の来訪見込む
ワタミオーガニックランドは、同グループの事業の一つである有機農業で培ってきたノウハウを活用した体験型の農業テーマパーク。園内では有機農業や畜産業を営み、来場者に体験を提供するほか、有機食材の加工工場、ショップやレストラン、研修施設などを併設し、6次産業化モデルの構築を目指す。電力は木質バイオマス発電によって自給する。
用地は同市の被災低地部のうち、気仙町の今泉北地区(高田病院跡地を含む気仙川沿い、計画面積23・6㌶)を利用。市は平成23年12月策定の震災復興計画において、同地区をスポーツ公園とする方針を定めていたが、運動公園は高田松原津波復興祈念公園エリア内に整備されることになったため、用地利用に関して国から事業主体の選定などについて見直しを求められていたという。
これを受け、渡邉会長が同市の参与を務める縁から、同社が参入事業者として名乗りを上げた。
今泉北地区は、周辺の道路や農地をかさ上げして復旧したため、エリア全体がくぼ地状になってしまっていることが課題だったが、参入事業者が決定したことにより国の復興交付金を受けることが可能となり、市がかさ上げなどの土地基盤整備を実施。そのうえで同社が施設整備、事業運営を行っていく。設備は同社がおよそ20年かけて段階的に拡充し、最終的には東京ドーム5個分の広大な施設となる見通し。
同社は、陸前高田市のオリジナルブランド米「たかたのゆめ」をはじめとした同市産農作物のレストラン等での提供や、農産加工品の発信などにより、「復興を加速させるとともに、世界からの注目を陸前高田に集めたい」としている。
運営にあたっては、ワタミの100%子会社として、企画運営会社にあたるワタミオーガニックランド㈱を同市で設立する。
戸羽太市長は「本市は震災の教訓と生命を守るための防災という意味から、そしてワタミさんは食という観点から、いずれも〝命〟について発信しようとしている。この陸前高田が命にまつわることをさまざまな角度から学べる場所として、修学旅行の〝聖地〟といえるようになれば」と、整備に期待を寄せた。
同社は市と協定を締結後、事業実施法人を設立。来年1月以降、地下埋設物撤去工事や盛り土工事などが行われる。オープンは、東日本大震災の発生から丸10年となる令和3年3月を目指している。