自学自習支援の「住高ハウス」の開設から1年、生徒に定着 住田町教委が運営(別写真あり)

▲ 面接などの準備を通じて、交流を深める生徒と運営スタッフ

 住田町教育委員会が県立住田高校(菅野誠二校長、生徒90人)の研修会館内に開設している「住高ハウス○○」は、15日で運営開始から1年を迎える。バスを待つ生徒らの時間の有効活用を支えようと設置し、最近は自学自習や町内独自の新設教科「地域創造学」の研究調査で利用する生徒が目立つ。町教委は生徒への定着をバネに、さらなる支援充実を図ることにしている。
 同校生徒の多くは通学で公共バスを利用しているが、運行本数が限られている。こうした中、町教委では帰宅までの時間を有効に過ごせる〝居場所〟づくりとして、昨年10月15日に開設した。
 町が採用した教育コーディネーターのほか、世田米商店街で「寺子屋」として学習支援を行っているスタッフ、専門学校での就職支援経験がある町在住者、町職員らが常駐。自学自習して過ごすだけでなく、スタッフとの交流などをしながら過ごせる。
 開設は祝日・休日を除く毎週月~木曜日で、午後4時~7時30分に利用できる。
 町教委によると、昨年10月~今年3月の前年度利用者は877人で、今年4月~10月の本年度利用者は919人。いずれも1日平均は10人前後だが、本年度は「寒さしのぎ」にとどまらず、自学自習に励む生徒の姿が増えている。
 今月9日には、3年の佐々木知哉君(17)=高田一中出身=が、進学に向けた面接準備のために利用。校内での練習で教諭らから指摘を受けた部分を整理し、教育コーディネーターの小宅優美さん(27)からアドバイスを受けた。
 住高ハウスをよく利用するという佐々木君は「面接の準備は、なかなか家に帰ってからでは難しい。相談できる人がいるのも良いところだし、リラックスもできる」と語る。
 研修会館内には開設に合わせ、インターネットに接続できる「Wi―Fi(ワイファイ)」を完備した自学自習スペースを整えた。生徒自身が所有するスマートフォンは学校内での使用が禁止されているといい、放課後に「地域創造学」の授業で各自が取り組む研究テーマについて調べる姿も目立つようになった。
 開設準備から携わる小宅さんは「『バスの待ち時間』という利用から、もう一歩先に踏み込んだものになってきた。自学自習では、スタッフと生徒が一緒に考えたり、調べる時間を大切にしている」と、手応えを語る。
 これまでと同様、地元在住の社会人との交流や、大学生らのサポートも受け入れる方針。小宅さんは「テスト勉強や試験対策といった対症療法的な支援だけでなく、進路や地域貢献など、学校ともっと連携を取りながら、この場所で生徒たちができることを増やしていきたい」と、今後を見据える。