災害情報提供より充実へ 市とヤフーが協定締結 大船渡
令和元年10月16日付 1面

震災の教訓踏まえ
大船渡市は15日の定例記者会見で、国内最大級のポータルサイト運営などを手がけるヤフー㈱(川邊健太郎代表取締役社長)と、今月1日付で「災害に係る情報発信等に関する協定」を締結したと発表した。東日本大震災の教訓を踏まえ、市民らによりスムーズに災害情報を提供しようと結んだもの。今後は、運用に向けた調整が済み次第、サービスを提供していく見通しだ。
8年7カ月前の東日本大震災発災当時、市は防災行政無線を通じて市民らに災害情報を提供。しかし、津波による被災もあり、市民に情報が伝わりにくかったという課題を残した。
こうした経験を踏まえ、市はこれまでに防災行政無線をはじめ、文字情報、市のホームページやツイッター、フェイスブック、コミュニティーFMなどの情報発信手段を増やし、市民らに有事の際の情報を提供。ヤフーとの協定締結も、情報発信の充実などを目的に行われた。
協定は、両者の書面によるやりとりを経て結ばれた。市によると、同様の協定締結は県内では9自治体目となり、沿岸市町村では初めてのケースになったという。
協定の主な内容は4点。このうち、災害時に市のホームページへのアクセスが増加し、接続しにくくなる課題に対しては、ヤフーサービス上に市のホームページを複製し、そちらに誘導することで市ホームページへの負荷軽減を図る。
また、ヤフーの地図サービス上に避難場所等をアイコンで表示するほか、避難勧告等の避難情報をヤフーが運営する「Yahoo!防災速報アプリ」で提供。市内の避難所、ライフラインの状況なども同アプリやヤフーホームページで発信する。
同アプリではこれまで市内に関し、Jアラートが発表した防災情報を発信してきたが、今後は市からの情報も確認可能になる。また、ヤフーの地図サービスに避難場所等が表示されることで、市民はもちろん、観光客らが有事の際にどこへ逃げればいいかを知ることもできる。
現在、市とヤフーは協定に基づいた運用開始に向けて細部を詰め、必要なデータを調整中。これが整い次第、情報提供をスタートさせるという。
市は運用開始後について、「市ホームページや広報などを通じて市民らに周知を図り、利用促進に努めていきたい」としている。