人口減拍車も目標〝継承〟 次期総合計画素案示す 住田

▲ 総合計画の素案などについて協議した推進委員会

 住田町による町総合計画推進委員会は18日夜、役場町民ホールで開かれた。平成27年度に策定した本年度までを期間とする町人口ビジョン・総合戦略・総合計画では、人口目標を「平成52年(2040年)に4000人」と掲げていたが、目標よりも減少に拍車がかかっている現状を説明。令和2~6年度の次期総合計画素案では、この目標を継承しつつも、さらに女性が暮らしやすいまちづくりや子育て支援に力を入れる方針を示した。

 

来年度から5年間

女性、子育て支援重視へ

 

 総合計画は、中長期的な視点で町づくりの方向性を定めるもの。国の「まち・ひと・しごと創生法」に基づいて国から策定を要請されている「地方版総合戦略」の内容を含む。
 新たな計画策定に向け、本年度から委員17人による推進委員会の新任期がスタート。有識者はいずれも前任期からの再任となったが、「ひと・まち・しごと各分野」のメンバーは新任が多く、女性が過半数となった。
 この日が初会合で、委員や町職員ら20人余りが出席。横澤孝副町長が「女性に選ばれる町、子どもが住みやすい町を推進していきたい」とあいさつし、委員長には前任期に引き続き首都大学東京の大杉覚氏を選任した。
 協議では、町側が人口ビジョンの検証について説明しながら、次期総合計画の素案を解説。平成30年時点の推計人口(県人口移動報告年報)は5331人で、国立社会保障・人口問題研究所が25年度にまとめた推計(5243人)を上回っているが、目標人口(5482人)には達していない。
 町内では、年間約100人ペースで人口減少が続く。今後、出生率を上昇させ、社会増減をゼロにしても、現在の人口ビジョンで掲げる目標の「2040年に4000人」には届かない見込み。
 しかし、町側は「人口減少はやむを得ないが、今後も安心して暮らせるための必要な手立てを打ち、最小限の減少に食い止めようとする町民に向けた一種のメッセージであり、人口減少社会に立ち向かっていく町のスローガンとしての性格を持つもの」と説明。次期計画でも、目標を継承したい方針を示した。
 目標人口達成に向けては、現計画よりもさらに、20年間で人口を約180人を増やす必要があるとしている。そのうえで、町は▽20~24歳の人口を増加させる▽15~49歳の助成人口を増加させる――が重要とし、女性が暮らしやすいまちづくりや子育て支援を推進する方向性も示した。
 町は本年度、地区ごとの住民懇談会や、職員を対象としたワークショップを実施。寄せられた意見などをふまえ、素案に盛り込んだ基本理念は「豊かな緑と水に育まれ、安らぎとにぎわいが調和する、共生のまち 住田」としている。
 出席した委員からは「増加傾向にある外国人労働者とどう共生していくかが重要」「自然ありきの産業ではなく、いろいろな形の産業を考えてはどうか」「近年、住田を取り巻く道路環境が変わった。これを生かせるまちづくりを」などの意見が寄せられた。
 次期総合計画は年度内の取りまとめを目指し、推進委員会は本年度全3回を予定。庁内推進委員会での協議などを経て、次回は12月12日(木)に開催する。委員次の通り。
 ▽有識者=大杉覚(首都大学東京)奈良朋彦(一般社団法人邑サポート)
 ▽ひと・まち・しごと各分野=小野香江(世田米学童クラブ保育指導員)高橋利果(訪問看護ステーションすみちゃん)金野千津(町社会福祉協議会)佐藤浩美(合資会社朋)千葉孝文(世田米小学校PTA)佐々木康行(すみた森の案内人の会)多田浩美(町婦人団体連合会)泉佳奈(町交通安全母の会)
 水野幹生(町消防団)藤井克伸(五葉中自治公民館)菊田勝(大船渡市農業協同組合)佐藤元幸(住田素材生産組合青年部)佐藤晃子(町商工会)紺野美奈(住田観光開発)吉田新吾(岩手銀行世田米支店)