最後の仮設住宅 撤去へ 長洞団地(猪川)で工事進む 市内最大の308戸整備 大船渡(別写真あり)

▲ 市内最後となる仮設住宅の撤去作業が進む長洞団地

 東日本大震災後、大船渡市内最大の応急仮設住宅308戸が整備された猪川町の長洞団地で現在、県による住宅の撤去工事が行われている。市内に整備された仮設住宅団地37カ所では今年5月末までに全入居者が退去しており、長洞を除く36団地は住宅の撤去を完了。長洞では、解体施工業者による住宅内の設備や壁の取り外し、重機による解体作業などが行われており、今年末には市内からプレハブ型仮設住宅の姿が消える見通しだ。

 

年末には完了の見通し

 

 平成23年の震災後、大船渡市は市内37カ所に1801戸のプレハブ型応急仮設住宅を整備。大船渡町の地ノ森団地(72戸)着工を皮切りに、4カ月後の7月末までに長洞を含む全団地が完成した。
 ピーク時の同年11月には、1792戸で4531人が生活。その後、市や県が建設した災害公営住宅への入居、自力再建、防災集団移転促進事業(防集)による高台移転が進み、仮設住宅の入居者は徐々に減少した。
 こうした動きに伴い、26年2月には同町の山馬越団地(88戸)で初めて一部を解体。その後、市内では初めて、三陸町吉浜の吉浜団地(5戸)が全面撤去された。
 同年11月、市は学校校庭の早期開放や民有地の返還に向け、応急仮設住宅の撤去・集約化計画を公表。市内小中学校の校庭から優先的に撤去・集約を進め、29年度末までに30団地の仮設住宅を撤去した。
 30年度は末崎町の大豆沢(24戸)、赤崎町の大立(65戸)、後ノ入(64戸)、後ノ入北(14戸)、山口(27戸)を撤去。集約団地に位置付けられていた地ノ森と長洞は、今年5月末までに入居者の退去が完了し、県による撤去作業に移った。
 地ノ森は、日成ビルド工業㈱大船渡営業所が解体施工を担当。工事は6月から行われ、9月に撤去工事を完了した。
 長洞は、花巻市の㈱照甲組が解体施工を担当し、8月中旬から工事をスタート。1カ月程度の準備作業を経て、先月中旬から本格的な解体に入った。
 市内最大の応急仮設住宅団地とあって、撤去工事は敷地内を4工区に分けて実施。同社によると、現在の進ちょくは工程の4割ほどで、順調に進んでいるという。
 工期は12月31日まで。今後、住宅は11月末までにすべて解体、撤去し、12月には敷地内の道路や敷石などを取り除く地面の現状復旧に入る計画としている。工事が順調に進めば、震災から8年9カ月を経て市内から応急仮設住宅が姿を消すこととなる。
 市によると9月末現在、住田町の応急仮設住宅を含むみなし仮設住宅の入居者は10世帯。その多くが市外のみなし仮設で暮らしており、県内陸部の災害公営住宅への入居を予定しているという。
 市は、内陸部などに避難する被災者の意向把握や相談対応を担う、いわて内陸避難者支援センターと連携しながら、みなし仮設入居者のサポートを継続していくとしている。