市とワタミが連携協定 農業テーマパーク整備で 陸前高田(別写真あり)

▲ 看板除幕のあと、環境に優しい風船を使い、関係者が調印記念のバルーンリリースを行った

 陸前高田市とワタミ㈱(東京都大田区、渡邉美樹代表取締役会長兼グループCEO)は24日、同市で「ワタミオーガニックランド」連携協力協定書調印式を行った。同社が気仙町の今泉北地区に農業テーマパークを整備・運営するにあたり、市が国の復興交付金を活用して土地基盤整備を実施し、同社が事業に必要な施設等の設置、管理、運営を行うことなど、基本的な事項を定めた。ワタミオーガニックランドは令和3年3月11日、レストランやショップ、養鶏用ハウスといった一部施設をオープンする予定で、およそ20年かけて栽培用ハウス、農地、果樹園などを順次整備していく計画となっている。

 

再来年3月11日に一部オープン

レストランや養鶏用ハウスなど

 

 調印式は高田町の市コミュニティホールで行われ、戸羽太市長と渡邉会長、農業テーマパークの企画運営会社として設立されたワタミオーガニックランド㈱の小出浩平代表取締役、農業所有適格法人として設立されたワタミファーム陸前高田㈱の西岡亨祐代表取締役らが出席。戸羽市長と渡邉会長が協定書にサインした。
 来賓の福田利喜市議会議長は、「われわれが当たり前のものと思っていた農業に、大きな力があると気づかせていただくようなご提案に感謝している。復興のためには、なりわいの再生が何より大事。市民みんなで協力できれば」と述べた。
 この日は今泉北地区の現地で、オーガニックランド整備にかかる看板の除幕式も行われた。
 東日本大震災で甚大な被害を受け、今も復興の途上にある同市の活性化、循環型社会の構築などを狙いとして整備される同ランドは、ワタミグループが事業の一つとして展開する有機農業のノウハウを活用した体験型の農業テーマパーク。園内で有機農業や畜産業を営むとともに、加工工場、飲食・物販施設、セミナーハウスなどを併設し、施設内の電力は木質バイオマス発電で自給する。
 市は来年1月以降、地下埋設物撤去工事や盛り土工事などを始め、その後にワタミが年間3億円ずつ投資して計画面積およそ23㌶の整備を進める。再来年3月11日のオープン段階では、ショップ、レストラン、採卵養鶏ハウス1棟、加工場1棟、野外音楽ステージなどが完成している予定という。
 レストランでは、地元で造られた有機しょうゆとオーガニックランドのたまご、陸前高田市オリジナル米の『たかたのゆめ』を使った卵かけごはんを提供するといった構想もある。
 農地は有機農法のための土づくりから始め、そのために必要なたい肥なども地元の協力を得ていきたい考え。施設内で栽培した農作物だけでなく、市内の農家と契約してリンゴなどの産品を加工したり、水産加工品の輸出といった展開も視野に入れる。また、障害者雇用の推進も図るという。
 渡邉会長は、「日本は少子高齢化が進んでどんどん疲弊している。本当の地方創生のためには、人が集まる場所をつくり、地元のものを世界中に売っていくことが重要。すぐそばに高田松原津波復興祈念公園もあり、相乗効果で人を呼び込める。ここを地方の成功モデルにしたい」と意気込んだ。
 戸羽市長は「(祈念公園内に)津波伝承館と追悼施設という、〝命〟について考える場所ができた。ここに農作物や生き物、食を通じた〝命〟も加わる。命を多面的に学べる場所として、陸前高田が修学旅行の聖地となれば」とし、「若者、障害者、高齢者らの雇用の受け皿としても、農業、漁業の振興、宿泊施設や飲食店といった事業所の活性化の面からも、広く市民がかかわれる施設になる。復興後についての不安をお持ちの方も多い中で、次のステップがイメージでき、前方に明るい光が見えるような取り組みだと思う」と期待を寄せた。
 また、ワタミの子会社である地域電力会社「陸前高田しみんエネルギー㈱」は11月2日(土)、3日(日)に中心市街地で実施される市産業まつりにブースを出展し、同ランドの完成イメージ模型を展示する。
 渡邉会長は「市と協力して市民の皆さまには適宜ご説明の機会を設け、市全体にかかわってもらいながら施設をつくっていきたい」とし、においなどの問題が懸念される畜産業の運営については「におい対策の工夫や技術は持っている。皆さまにしっかりご説明し、合意をいただきながら進めていく」と述べた。