震災被害の大きさ肌で 盛岡第二高の1年生、陸前高田で被災地学習 津波伝承館などを見学(別写真あり)

▲ 震災当時の状況が映し出された映像を真剣に見つめる盛岡第二高校の生徒たち

 盛岡市の県立盛岡第二高校(菅原尚志校長)の1年生192人が30日、陸前高田市気仙町の高田松原津波復興祈念公園内に県が整備した東日本大震災津波伝承館(愛称・いわてTSUNAMIメモリアル)などを訪れ、被災地学習を行った。映像などで津波の脅威や当時のまちの状況を学んだほか、国営追悼・祈念施設にある献花の場や「奇跡の一本松」を見学し、震災被害や復興の歩みに理解を深めていた。
 同館は、震災の教訓継承、発災から復興までの状況と支援への感謝発信を目的として整備された。「命を守り、海と大地と共に生きる〜二度と東日本大震災津波の悲しみをくり返さないために〜」をテーマとした常設展示と、支援への感謝や復興へ歩む被災地の姿を伝えるコーナーで構成されている。
 同校では5年ほど前から、1年生の総合的な探究の一環として被災地学習を実施。自分の命を守る行動や、安全・安心の社会づくりをしていくために必要な知識や技能を生徒たちに身につけてもらおうと行われているもので、これまで同市や大船渡市、山田町、宮城県気仙沼市などで授業を展開してきた。今回は、震災津波伝承館がオープンしたことを受け、陸前高田市で学習を行うこととなった。
 この日は、生徒と教員合わせて203人が同市を訪問。津波伝承館では、解説員らから災害が発生した際の避難ルートの説明を受けたあと、館内を見学するグループと、「奇跡の一本松」ルートを見学するグループとに分かれて学習した。
 このうち、伝承館内を見学したグループは、震災当時の被災地や人々の様子を説明したガイダンスシアターを鑑賞。「津波が来たら、てんでんばらばらに高台へ逃げろ」という意味で、古くから三陸沿岸部に伝わる「津波てんでんこ」なども紹介され、災害が発生したときの避難行動の大切さに理解を深めた。
 生徒たちはこのあと、館内の展示や「奇跡の一本松」などを見学。防潮堤の上に造られた国営追悼・祈念施設の「海を望む場」から、復旧が進む高田松原海岸や震災遺構を眺め、津波がもたらした被害の大きさを肌で感じ取っていた。
 同校の鈴木陽菜さんと畠山穂佳さんは、「災害のニュースなどを目にしても、被害状況などにあまり実感がわかなかったが、一本松や遺構を見て、『危険だな』と感じたら、すぐ逃げることが大切だと思った」「映像や展示を見て、自分の想像をはるかに超える被害の大きさだった。被災した人たちの苦労を知ることができて、貴重な体験だった」とそれぞれ感想を話していた。
 県によると、同館の来場者数は27日時点で、4万6380人となっており、今週中に5万人に到達する見込み。