台風19号の被害額 3市町で計13億円に 気仙
令和元年10月31日付 1面
13日未明から明け方にかけて気仙に最接近した台風19号の被害額が、3市町による29日までの集計で12億9933万円となった。道路被害が件数、金額とも大半を占め、大船渡市内の一部市道では被害が大規模に及んだため、国に対して災害復旧申請を行う動きも。農林水産分野でも、大きな爪痕が残った。被害は広範囲に及び、現時点でも全容がつかめておらず、金額はさらに拡大する見通しだ。
道路や農林水産に爪痕 今後さらに拡大の見通し
三陸町が甚大9・5億円に 大船渡
大船渡市が28日現在でまとめた台風の被害状況によると、被害箇所数は361件、金額は9億4777万円で、特に三陸町内に大きな被害が集中している状況。現時点でまだ被害金額が分かっていないものもあり、今後さらに増額となる可能性があるとしている。
項目別にみると、最も被害額が大きいのは道路で240カ所7億2020万円。特に、路面の一部流失が発生した三陸町吉浜地内の市道扇洞根白線は、復旧額で約2億円を見込む。同線は被害が大きいことから、国に災害復旧申請を行ったという。
次いで大きいのは、農林業施設等の41件1億5300万円。林道16カ所や農業用水路の被害が目立ち、中でも同町越喜来地内の林道大塩線は路面の流失により、5400万円の被害額となっている。
港湾・漁港は27件5063万円で、被害額が大きいのは同町吉浜で倒壊した作業保管施設の約2700万円。盛川、吉浜、綾里の各漁協が管理するサケふ化場親魚捕獲施設の破損は計470万円となった。養殖施設の被害状況は、報告されていない。
河川は6件890万円で、土砂が流れ込むなどの被害を受けた。また、その他となる観光や防災などの各施設被害は23件1504万円で、越喜来の浪板海岸内で発生した土砂崩れにより、海水浴場のトイレ・シャワー室倉庫の壁が破損して約550万円、防災行政無線屋外拡声子局(浪板海岸局)も破損が生じて約500万円の被害額となった。
このほか、都市施設1件、水道施設8件、教育施設で15件の被害を確認しているが、その金額については調査中。全体的な被害額が確定するまではまだ時間を要するとしており、市は引き続き情報収集と復旧作業にあたっている。
市道のり面崩壊など3・3億円 陸前高田
陸前高田市が24日までにまとめた被害状況によると、農業、林道、水産業、市道、河川などに関する市内全体の被害総額は3億2669万円。道路や河川、教育施設等については調査が終了しており、現時点で最も被害額が大きいのは市道にかかる2億700万円となっている。
市によると、市道への被害のうち最も多かったのはのり面崩壊で28件。気仙町と小友町を除く6町で発生し、被害額は6950万円。次いで、路面洗掘が5町で計11件確認され、被害額は2800万円だった。
また、市道・河川兼用の護岸の内側が水流によって削れてしまう護岸洗掘が矢作、横田、気仙の各町で計5カ所発生し、1億円の被害額となった。台風19号による通行止め等はすべて解消されている。
河川への被害額5300万円のうち大部分を占めるのは、護岸崩壊の4950万円。竹駒町や横田町、広田町で計7件確認された。
農業の被害額は、24日までの調査時点で3050万円。横田町では農地への土砂流入、高田、米崎、小友の各町でのハウス破損などが確認された。いずれも小規模な被害で、ハウスのビニールが破れるといった軽微な破損にとどまり、ハウス倒壊などはなかった。
農業被害のうち、果樹については高田、米崎両町で栽培されているリンゴの落果などで1800万円の被害があったが、農業共済などで大部分が補てんされるという。
水産業では、広田町の船揚げ場斜路の破損、ゴミ漂着、サケ採捕場の漁具破損など、合わせておよそ1833万円の被害額となったものの、養殖漁業などへの大きな影響はなかった。
4000万円程度にまで増大も 住田
住田町が18日現在でまとめた台風による被害箇所は40件で、金額は2487万円。河川や教育施設で精査・調査が残っており、最終的には4000万円程度まで膨らむ可能性があるという。
確定したうち、単独で被害規模が大きかったのは、世田米小口洞地内を流れる中沢川で、近くに住宅がある河川護岸ののり面が崩壊。被害額は1050万円程度の見込み。
被害箇所をみると、約半数が町道や林道の路面洗掘。金額はそれぞれ100万円以下で、町による復旧作業を予定している。
体育館や公民館、民俗資料館の各文教施設の被害は調査中。上有住を流れる気仙川の「中埣広場」でも土羽部分の浸食が確認され、復旧方法などを検討している。農作物などの被害は微少だった。