〝憩いの場〟復活へ 「みなと公園」整備スタート 県発注、本年度内を工期に 大船渡
令和元年11月1日付 1面


写真手前が公園の整備地
大船渡市大船渡町茶屋前地区で、県発注による「みなと公園」整備工事が始まった。東日本大震災前は海沿いにあり、多くの市民らに親しまれてきた同公園。今回、被災した公園を復旧するとともに、防潮堤を生かした周辺の環境整備も行い、かつての〝憩いの場〟を復活させる。公園整備は今後本格化。本年度内を工期に、同地区の防潮堤工事の進ちょく状況をみながら進められる。
防潮堤を生かして復旧
みなと公園は、大船渡港港湾計画に位置づけられた港湾緑地(港湾利用者が休憩するための緑地)。大船渡湾に面した須崎川河口部の左岸側に位置しており、震災前から地域住民の憩いの場として利用され、ゲートボールなども行われていた。
公園整備は「大船渡港茶屋前地区海岸環境整備工事」として実施。海岸防護を目的とした防潮堤整備と併せ、海岸環境整備、保全と海岸の適正利用確保を図る。
施工は、花巻市の㈱たかしん興業が担当。工事費は2億592万円で、工期は令和2年3月15日まで。
県が整備を進める大船渡港海岸(茶屋前地区)の防潮堤(延長約460㍍、TP7・5㍍)は、堤体がほぼ完成を迎えており、今後は防潮堤の2カ所の水門工事と調整しながら公園工事を進めていく。
復旧する公園部分の面積は被災前とほぼ同じ約0・35㌶だが、防潮堤をまたぐような形で整備され、〝頂上〟には海や中心市街地を眺めることのできる展望広場が設けられる。
また、防潮堤に沿う形で約500㍍を盛り土、植生し、防潮堤内側には園路も設置。同地区の防潮堤には「窓」も付いており、園路から海側をのぞくこともできる。盛り土は約1万立方㍍、張り芝約4200平方㍍、舗装約4300平方㍍に及ぶ。
公園整備に当たっては、平成28年度に大船渡市主催の夢海公園とみなと公園整備に関するワークショップが計3回開かれ、地域住民らがさまざまな意見を寄せてきた。住民らの意見を反映させたデザインで、防潮堤・環境の整備、防潮堤背後の土地利用に合わせた整備計画となっている。
市が整備し、今年5月に供用開始を迎えた夢海公園(9484・89平方㍍)と隣接。完成すれば大規模な公園が姿を現すこととなり、一体的な利用が期待される。
県大船渡土木センター復興まちづくり課の阿部忠課長は「防潮堤がおおむね完成を迎え、環境整備の段階になっている。市民の皆さんに大いに使っていただけるよう、少しでも早い完成に向けて進めていきたい。完成したあかつきにはぜひ利用してほしい」と話している。