パネル展示総入れ替え 情報館がリニューアル 四季の美しい風景も盛り込む 陸前高田(別写真あり)

▲ 復興まちづくり情報館の展示を全面リニューアル

 陸前高田市高田町のアバッセたかた南側にある市の「復興まちづくり情報館」は1日、全面リニューアルオープンした。これまでの展示内容を一新し、東日本大震災による被災からその後のまちづくり、日常を取り戻そうとする人々の力強い姿といった復興の過程だけでなく、同市の震災前の風景や美しい自然、震災後に生まれた絆、新たなまちの魅力まで、およそ200点の写真を使って視覚的に紹介する。
 復興まちづくり情報館は平成26年、市とUR都市機構陸前高田復興支援事務所、震災復興事業共同企業体が共同で設置。市の被災前の街並みや復旧・復興の歩みを伝える施設として旧道の駅「タピック45」敷地内に整備されたが、タピック周辺の盛り土工事に伴い、30年に現在地へ移設した。
 今回のリニューアルは、海沿いに新しい道の駅「高田松原」を含む高田松原津波復興祈念公園の一部がオープンしたことを受けてのもの。同公園内にある震災津波伝承館が全県の被災と復興について網羅する内容となっていることもあり、まちづくり情報館では陸前高田市に特化して内容の差別化を図り、中心市街地への誘客の一助にしようという狙いがある。
 これまで同館には、同市の被災状況をはじめ、震災復興計画や各種復興事業の内容を説明するため、文書や表を中心としたA1サイズのパネルが並べられていたが、リニューアルに伴いビジュアル重視の内容に変更した。
 新たな展示は、順路に沿って▽被災~まちを取り戻す▽ふるさとは負けない~なりわいの再生と人々の力強さ▽市街地に再びにぎわいを▽教訓伝承の誓いと鎮魂の祈り▽高田松原再生への思い▽それでも美しきふるさと▽奇跡の一本松▽遊びに来て!陸前高田▽ありし日の陸前高田▽震災後に育まれた絆──という構成。
 文書は極力減らし、ストーリーに沿った写真をメリハリよく並べることで、短時間の滞在でも同市について理解を深められるものとした。また、市街地やベルトコンベヤー「希望の架け橋」の模型、大津波で流失し米国に漂着した県立高田高校の実習船「かもめ」の実物など、既存の展示物とパネルの内容も対応させた。
 さらに、美しい四季折々の風景や季節の催事なども大判の写真で掲示し、「また別の季節にもここを訪ねてみたい」というリピーターも増やしたい考え。民泊の受け入れ家庭などが、来訪者に地域のことを伝えられる場所としても役立ててもらいたいという。
 戸羽太市長は「これまでの展示は、視察に来る国の方々への説明に使われる場面が多く、一般の方が見てもよくわからない部分もあったと思う」とし、「新しい情報館は中をぐるっと回るだけで、初めて来た方にも被災から復興への道筋や以前の陸前高田、震災後に生まれたご縁などについてご理解いただけるものになった。写真もきれいで、今のこのまちの魅力もお伝えできると思う」と来館を呼びかける。
 同館の利用時間は午前9時~午後5時。入館料は無料。