開始1年 成果に広がり 大股地区の「買い物ツアー」 住田

▲ 店舗が集積する世田米地区などに足を運ぶスマイルおおまたなどの「買い物ツアー」事業

見守りやイベント参加にも

 

 住田町世田米大股地区の地域協働組織・スマイルおおまた大股地区振興協議会と町社会福祉協議会が実施している「買い物ツアー」は、開始から1年を迎えた。外出が不自由な高齢者らが対象で、デイサービス送迎の空き時間に福祉車両を確保し、月2回程度地区内の自宅から商業施設までを往復する取り組み。高齢者の見守りやイベント参加といった面にも広がりを見せている。
 同地区内には110世帯余りが暮らし、住宅が点在。小売店は閉店が続き、徒歩圏内に店舗がない住民が増えている。
 新たな運行サービスを立ち上げるには、設備や財源・人員確保で壁が多い。こうした中、町社協が保有し、朝や夕方を中心に使われるデイサービス送迎用の福祉車両に注目。〝休んでいる〟日中の時間に送迎利用して地域住民の移動手段確保につなげようと、昨年11月下旬から買い物ツアーを始めた。
 スマイルおおまたによると、これまで22回開催し、延べ利用者はちょうど100人。福祉車両と同地区の集落支援員が借り上げた軽乗用車2台を使い、おおむね月2回ペースで実施してきた。
 現在は、高齢者だけの家族など14世帯が登録。事前に登録している各世帯に電話などで利用する予定があるかどうかを確認し、当日は自宅までいずれかの車両が迎えに行く。利用者それぞれが希望した店舗や金融機関など3~6カ所を回り、希望によっては飲食店で昼食をとることもあるという。
 店舗ごとに車両に荷物の積み込みができるとあって、米など重量があるものを購入するケースも。本年度は「地域のイベントに行くことがあまりない」といった声を受け、産業まつりなどに出向く「外出・買い物サポート事業」も新たに実施した。
 既存の車両を使っているため、事業にかかる支出はほとんどない状態で運営を続けてきた。活動を通じて、利用する高齢者が誘い合って地区行事に出席するようになるなど、住民交流の促進にも波及。定期的に関係者が登録者に電話をすることで、見守りの充実にもつながっている。
 両協議会では、少なくとも本年度いっぱいは続ける計画。スマイルおおまたの事務局を担う紺野和美集落支援員は「臨機応変に対応してきたことで、利用者側にも頼みやすい雰囲気が出てきたようだ。車内でのコミュニケーションやお出掛けの楽しさを味わえるのも、この事業の良さ」と手ごたえを語り、「今後も利用者の要望をくみ上げながら、柔軟に対応していきたい」としている。