大船渡市が空き家調査に着手 市内の現状、より詳細に バンク事業とも連携

▲ 今後の空き家対策などに向け、大船渡市は今月から空き家調査を実施(写真は資料)

 大船渡市は、市内に点在する空き家の適切な管理を図るため、市内全域で空き家調査を進めている。空き家の外観を詳しく調べるとともに、来月中旬からは所有者に空き家の利活用策などを尋ねるアンケートを計画。調査を通じて詳しい現状を把握し、令和2年度には「空家等対策計画」の策定や関連条例の整備を行う考え。市は空き家バンク事業とも連携させながら、「市民の安全な環境の確保、移住・定住の促進につなげていきたい」としている。

 

所有者にアンケートも

 

 空き家問題は人口減少の進行に伴い、全国で深刻化。国の住宅・土地統計調査(平成30年10月1日現在)によると、大船渡市内の住宅数は2450戸で、このうち1090戸が空き家と推計している。
 市は空き家問題の顕在化を見据え、27年度に策定した「まち・ひと・しごと創生総合戦略」に「移住総合支援体制構築プロジェクト」を盛り込み、空き家対策事業を展開。30年3月にはその一環として「空き家バンク」制度をスタートした。
 今年10月末現在、同制度には空き家6件、利用9件の登録があり、2件が成約に結びついた。成約の1件は市外からの移住者で、空き家所有者と利用者に5万円ずつを交付する空き家バンク活用奨励金制度の第1号も誕生。本年度は新たに、住宅リフォーム工事助成事業との連携、金融機関との提携による支援制度なども進めている。
 一方で、市内には住人がおらず、老朽化や傷みが進む空き家も存在。市によると、現時点では倒壊などによって周辺住民に影響を及ぼす恐れのある家屋はないというが、環境保全や防犯の観点からの空き家対策も求められている。
 そこで、市は今月11日から来年1月中旬にかけて空き家調査を行い、空き家の状況や所有者の意向などを把握する。調査結果は、国の法律に基づいて来年度策定を予定する空家等対策計画などに反映させ、適切に管理されていない空き家への対応を図る。
 調査は、市が㈱ゼンリン盛岡営業所に業務を委託。費用は約620万円。
 現在は、市内全域を対象に空き家の外観調査を実施中。基礎の有無をはじめ、外壁、屋根、窓ガラスなどの破損状況、門や塀に傾斜、破損が生じていないかなどを確認している。
 空き家所有者を対象としたアンケートは、12月中旬から1カ月程度をかけて行う。空き家になったきっかけや利用状況、今後の利活用策の有無などを尋ねるとともに、空き家バンク制度の周知も図りたい考え。調査結果は年度内にとりまとめ、今後の空き家対策事業の充実に役立てていく。
 市は、空き家所有者や周辺住民に調査への協力を呼びかけており、「調査結果を市民の安全対策に役立てるとともに、空き家バンクとの連携も図っていきたい」としている。