大船渡東高が入賞 復興ビジネスコンテスト サンマの缶詰とアユの薫製で
令和元年11月29日付 3面

県立大船渡東高校(川村俊彦校長)の生徒が開発したサンマの缶詰とアユの薫製が、『「新しい東北」復興ビジネスコンテスト2019』の学生アイデア部門で「わきたつ東北賞」に選ばれた。両製品は生徒たちがこれまで学んできた技術を生かし、地域資源を活用して開発したもの。生徒たちは今回の受賞を励みに、商品化に向けての気持ちを新たにした。
復興庁が平成25年12月に設立した「新しい東北」官民連携推進協議会では、被災地の産業復興に向けた地域産業創出の機運醸成を図ることを目的として、同庁からの委託事業である「新しい東北」復興ビジネスコンテストを平成26年度から開催している。
今年は一般部門に加え、新たに学生アイデア部門を設け、両部門に合わせて92件の応募があった。
コンテストでは、書類による1次審査、プレゼンテーションによる第2次審査を実施。▽事業の着手・発案に至った背景・課題認識の明確性▽ビジネスモデルの先進性・モデル性▽地域産業の復興・創出や地域振興への影響度・貢献度▽事業の実現性・発展可能性▽事業計画の妥当性──を基準に審査した。
今回、大船渡東高が応募したのは、気仙のアユを使った薫製と大船渡産サンマの缶詰。
このうち、アユの薫製は1匹まるごと使用したものとふりかけタイプの2種類で、農芸科学科の生徒が4年前から開発を進めてきた。薫製のチップには、同校で管理しているツバキの枝を使用。製造にあたっては地元の企業が協力した。
一方、サンマの缶詰は、大船渡に水揚げされたサンマと、農芸科学科の生徒がつくったみそなどを使用。情報処理科の金野優翔君(3年)がビジネス同好会の活動で企画し、レシピを食物文化科、パッケージデザインを情報処理科が担当するなど、各科の協力を得ながら開発。今後は、缶詰製造の設備を持つ高田高校の海洋システム科に製造を委託する計画だ。どちらも、商品化後は購入代金の一部を大船渡市に寄付する予定。
表彰式はこのほど、東京都内で行われ、金野君、農芸科学科の田村倖汰朗君(3年)が出席。東北経済連合会の小野晋常務理事から賞状を手渡された。
田村君は「先輩たちから受け継いできたものが評価され、うれしかった。2年生の時から実習で加工を頑張ってきたので、達成感がある」と、金野君は「詰めの甘いプランだったかもしれないが、それでも評価してもらえてうれしい。これが大船渡の土産として定着し、大船渡に来てくれる人が増えてくれれば」と話していた。