犠牲者の刻銘板設置へ 中心市街地の追悼施設に 陸前高田

▲ 中心市街地にある震災追悼施設周辺に犠牲者の刻銘板を設置

来月から遺族に意向確認

 

 陸前高田市は、令和2年度内に高田町の中心市街地にある「東日本大震災追悼施設」を再整備し、震災犠牲者の刻銘板等を設置することを決めた。29日に開会した市議会定例会後の全員協議会で、市当局が明らかにした。行方不明者や震災関連死を含む市民と、同市で犠牲になった人なども対象とする。今市議会に補正予算として設計費約300万円を計上。12月中旬から来年2月にかけて遺族への意向確認調査を郵送で行い、本年度内に設計業務を委託することにしている。
 市は、震災犠牲者の追悼と鎮魂、震災の記憶と教訓の継承を目的に来年度、中心市街地にある追悼施設を改修。これに合わせて外構なども整備し、刻銘板を設置すると決めた。
 対象範囲は、①震災で犠牲となった市民(死亡届が提出された行方不明者、震災関連死を含む)②震災遺族が刻銘を希望する人のうち▽震災当時、陸前高田市で犠牲になった▽ほかの市町村で犠牲となり、本人が同市の出身者か、遺族が同市在住または出身者──とする。
 ①に該当する人は、29日現在1760人。すべての遺族に意向を確認し、同意を得られた人の名前を刻銘する。また、広報等を使って広く周知を図り、②に該当する遺族からの申し出を受け付ける。
 震災犠牲者の刻銘板を整備するのは、県内の自治体としては釜石市に続き2例目。市は当初、高田松原津波復興祈念公園内への設置も検討していたが、同公園や園内にある津波伝承館は県全体について網羅した施設であることから、市民の名前を刻む碑は市の追悼施設に整備することにしたという。これには、同公園と併せ、中心市街地にも足を運んでもらい、市の被災と復興についても伝えようという狙いもある。 
 被災者支援室の山本郁夫室長は「亡くなった市民の皆さまを追悼し、思いを寄せられる場所にしたい。発災から時間もたっているため、郵便がすべてのご遺族に届かない可能性もあり、意向確認には時間を要すると思われる。一応の期限はお示しするが、後から意向が分かったり、お申し出があった場合にも対応していく」としている。
 刻銘板の素材、デザインなどは今後検討を進める。犠牲者の名前をどのように並べるかについて市は、一定の基準を設けつつ、遺族の意向も考慮したいとする。
 全員協議会ではこのほか、市消防防災センターに設置された免震オイルダンパー2基について今月、製造会社の負担により交換工事を行ったことが報告された。
 これは昨年10月、オイルダンパーの製造会社とその子会社が、免震・制振装置の検査データを改ざんしていた問題を受けてのもの。国土交通省が指定した第三者機関の立ち会いのもと、新たに製造した免震オイルダンパー2基の検査を行い、製造会社が工事費用を全額負担して取り換え工事が行われた。


工事請負契約など議案15件即決 市議会

 

 陸前高田市議会定例会は29日開会し、会期を11日(水)までの13日間と決めたあと、市当局が執行前提案13件、条例案9件、補正予算案6件の計28件を提出。初日は市道の認定と廃止、漁港海岸災害復旧や今泉北区埋設物等撤去工事の請負契約締結など、執行前提案10件を含む議案15件を即決し、条例案や補正予算案などを予算等特別委員会に付託した。
 今定例会の日程次の通り。
 ▽30日~12月2日=休会▽3~5日=一般質問▽6日=復興対策特別委員会、各常任委員会▽7、8日=休会▽9日=予算等特別委員会▽10日=休会▽11日=本会議