「一歩目」の技術習得 すみた山守育成P 林業施業研修初級講座が終了 住田(別写真あり)

▲ 泉田さん(右端)らの指導を受けながら経験を積んだ参加者たち

 住田町を拠点とする「すみた山守育成プロジェクト」(平林慧遠代表理事)が主催する林業施業研修初級講座は1日、住田町下有住の民有林内で本年度の最終回が行われた。これまでチェーンソーの基本的な取り扱いなどを学んだ参加者は、自らの判断で間伐木を選び、伐採するまでの作業を実践。山に入る「一歩目」の経験を積んだ参加者は、今後の活動にも意欲を見せていた。
 同プロジェクトは、今年2月に発足。林業に関する基礎技術を学ぶ機会をつくりながら担い手確保につなげ、チェーンソーや刈払機などを使った小規模な作業を実践できる住民を増やしていこうと活動し、細やかな森林管理や里山の生活文化継承も見据える。
 森林の手入れを行う多様な担い手を育成する活動として、県による「県民参加の森林づくり促進事業」を活用。林業施業研修は、未経験者らが基礎技術を学ぶ場として企画し、5月からスタート。町内外から10人余りが申し込んだ。
 全6回の講座に加え、各回「フォローアップ(補講)」の機会も設けた。参加者はチェーンソーや刈払機の取り扱いや間伐作業、森林管理技術を学んだ。
 最終講座では、参加者が1人で間伐作業を展開。急斜面でそれぞれがチェーンソーを手にし、間伐木の選定や、伐倒時の「かかり木」の対処などに落ち着いて臨み、学びの成果を披露した。
 参加した岩泉町在住の林直秀さん(29)は「どの方向に切るべきかなど、フォローアップも含めて経験を積むことで、作業をしながら考えられるようになった」と、手ごたえを語る。
 実技の講師を務めてきた県基幹林業作業士の泉田晴夫さん(67)=上有住=は「木は自然の中で育つもので、一本一本それぞれに特徴がある。今回の講座で分かった気にならず、経験を重ねていくことが重要」と、今後に期待を込める。
 本年度は中級編の講座も設け、先月で全日程が終了。同プロジェクトでは来年度以降も初級、中級の両講座を開催する予定。
 平林代表理事(34)は「参加者によって習いたい目的は異なっていたが、山に入る一歩目を踏み出す機会になったと思う。今後も活動を重ね、自らの山や、地域の山を管理できる人を増やすことにつながれば」と話している。