2019気仙この1年/記者の取材ノートより①【新時代の幕開け】

▲ 新元号「令和」を伝えるテレビ中継に見入る買い物客(4月1日、大船渡市のサン・リアで)

「平成」から「令和」に、消費税率10%への引き上げも/新時代の幕開け

 

 平成から令和にバトンタッチし、その元年も残りわずかとなった。東日本大震災の発生から8年9カ月余りが経過した中、気仙では復興事業の多くが詰めの段階を迎えている。全国の脚光を浴びるプロ野球選手の誕生もあり、人々に元気を与えた。一方で、復興需要の収束や歴史的不漁など地場産業への逆風も。明暗さまざまな出来事があったこの一年を、記者の取材ノートから振り返る。(文中年齢や肩書などは当時のもの)

 5月1日、皇太子さまが天皇に即位。30年3カ月余続いた平成からバトンを受け、新時代「令和」が幕を開けた。
 平成29年6月、皇室典範特例法が成立。江戸後期の光格天皇以来202年ぶり、憲政史上では初めてとなる譲位が一代に限って進められることとなった。
 新天皇陛下は、上皇、上皇后両陛下の第一皇子として昭和35年2月23日にお生まれになられ、59歳で第126代天皇に即位された。
 新元号の令和は、政府が漢文学、国文学、日本史学、東洋史学の専門家に候補案を求め絞り込んだとされ、わが国最古の歌集「万葉集」からの出典となった。国民生活への影響を最小限に抑える観点で、改元1カ月前の4月1日に公表された。
 上皇、上皇后両陛下、天皇、皇后両陛下は、東日本大震災後、気仙にも足を運ばれ、被災者の一人一人に寄り添うようにして優しく声をかけられ、復興への希望をもたらした。
 令和のスタートに際し、住民からは被災地に思いを寄せながら歩まれてきた皇族方の弥栄とともに、平穏な時代を願う声が相次いだ。商業施設などでは記念セールなども行われ、華やかに新時代の幕が開いた。

 10月1日から消費税が8%から10%へ引き上げられた。平成元年の導入以来、引き上げは3度目。飲食料品などは8%のまま据え置いて家計への影響を抑える軽減税率が適用されたほか、キャッシュレス決済のポイント還元が導入された。商品や支払い方法による税率の違いをはじめとして、分かりにくさも指摘される中、気仙では消費者、事業所が、ともに手探り状態、あるいは「走り陣立て」でスタートを迎えた。
 今回の引き上げは、増収分をすべて社会保障にあてることで、高齢者施策中心だったものを子育て世代にも充当し、全世代型の社会保障転換を図る狙い。当初は27年10月に予定されていたが、政府が世界経済の情勢などを背景として、2度にわたって延期してきた経緯がある。
 気仙では、引き上げ前の「駆け込み需要」期も含めて大きな混乱には至らなかったが、軽減税率導入にかかる事業者の商品管理や店頭対応、記帳といった業務の煩雑化、情報通信機器に不慣れな高齢層へのキャッシュレス決済浸透など、クリアすべき課題をいまだ抱えたまま。過去の税率引き上げ後に見られた消費の落ち込みはあるかなど、今後の経済動向も焦点となりそうだ。