ILCの効果話し合う アクションプラン策定委 大船渡(別写真あり)
令和元年12月19日付 1面

大船渡市のILCアクションプラン策定委員会(新沼邦夫会長、委員22人)は18日、同市役所で第2回会合を開いた。市の「ILCと共生するまちづくりビジョン」に掲げる将来像5分野のうち、4分野のアクションプラン策定に向け、分野ごとに意見を交換。委員らはILCの実現によって想定される効果や準備しなければならないものなどを話し合い、全体での共有を図った。
ILCは、全長20㌔の地下トンネル内に直線上の加速器を設置し、電子と陽電子を衝突させて宇宙の謎を解明する大型の実験施設。建設候補地には北上山地が有力視されている。
市は、ILCの誘致実現による効果を最大限に生かすための取り組み指針として、平成30年度に同ビジョンと、「港湾・物流・道路」分野のアクションプランを策定。本年度は、「産業」「観光・交流」「生活・居住・滞在」「医療・教育・社会」各分野のプラン策定に向け、作業を進めている。
策定委は、各分野の関係者らから広く意見、提言を聞き、プランに反映させようと今年10月に設置。この日は委員16人と、ILCやプランの各分野に関連する県、市の担当職員らも合わせて約30人が出席した。
新沼会長は「ILC誘致判断の後押しには、住民の機運を盛り上げ、適切な準備を進めていくことが必要。日ごろの役職や立場をこえ、忌憚(きたん)のない意見をお願いしたい」とあいさつした。
委員や職員らはこのあと、本年度策定する4分野に分かれ、ワークショップ形式で意見を交換。「ILCから想定される効果と大船渡市が目指すべき姿について」をテーマに、ILCが実現した場合における、〝準備期〟〝建設期〟といった時間の経過も踏まえながら、効果、必要となるもの、準備や体制づくりを進めるべきものなどを話し合った。
「産業」のテーブルでは、ILCに関する機材を大船渡港で荷揚げし、建設現場に運ぶまでのインフラ整備、検査施設の必要性などが話題に。「観光・交流」の協議からは、施設工事関係者、研究者らの週末観光需要や経済効果、外国人研究者向けのマリンレジャー、宗教などにかかわる食事の対応などが意見に上った。
「生活・居住・滞在」では、外国人目線による大船渡の魅力創出、市内の外国人実習生との交流、英語教育の充実などが寄せられ、「アクションプラン策定に当たっては、若い世代の意見を聞きたい」との要望も。「医療・教育・社会」からは、子どもたちの発達段階に応じてILCに親しめる環境づくり、地域一体となった外国人を受け入れる体制の必要性、地域住民が日本や地元の文化に理解を深める大切さなどが挙がった。
最後に、各テーブルで進行役を務めた委員らが感想を発表。「大船渡がいいところ、住みやすい場所となるためには何が必要かを考えたところ、英語や交流などが浮かび上がり、共有ができた」「ILCに対する内陸と沿岸部の熱量の差がまだまだ大きいと感じ、機運醸成のために何が必要かを考える機会になった」などと述べた。
市は、今回の意見をアクションプランに反映させていく考え。次回の策定委は、来月下旬ごろを予定している。