「仕事づくり」見据え交流 関係人口創出・拡大へ 住田町が県外在住者招き(別写真あり)

▲ きょうまでの日程で住田町内を回る中村さん㊨と橋本さん

 住田町による関係人口創出・拡大を目指す「住田現地ツアー」は20日から、町内で始まった。地域内外の人材が継続的につながる仕組みづくりを目指す取り組みで、岐阜県の林業事業に参加する合同会社職員と、インターンで気仙に滞在経験がある大学生が参加。21日までの日程で行われ、林業や教育、移住者の暮らしなどを紹介しながら、地域住民らとの交流促進を図る。

 

きょうまで現地ツアー

 

 近年、移住した「定住人口」や、観光で訪れた「交流人口」に当てはまらず、地域と多様にかかわる「関係人口」への注目度が高まっている。総務省では、持続的なつながりを持つ機会・きっかけを提供する地方自治体の取り組みをモデル事業に採択している。
 同町は昨年に続く採択で、本年度は「都市住民らの地域への関心を醸成する取り組み」に着手。都市部に拠点を置く個人や企業、団体と連携しながら、住田への関心を高める。
 仕事を定期的に持ち込む地域外人材と、地域内人材がつながる形を描き、新たなビジネス創出などにつなげたい考え。「新たに仕事を起こす」「多数の小さな仕事を組み合わせる」といったノウハウを持つ地域外人材に参画してもらいながら、新ビジネスの創出や伝統を新たな形で継承する若者の増加を目指す。
 取り組み推進に向けて、本年度は住田町とかかわりがある企業やNPOなどが「関係案内人」となり、都市住民らの関心醸成などを図ってきた。これまで、東京や名古屋で住田の魅力や地域の実情を伝える説明会を企画してきた。
 今回のツアーには、説明会にも訪れた岐阜県本巣市の合同会社ロムで森林プランナーを務める中村親也さん(38)と、9月に陸前高田市内の事業所でインターンシップを行った神奈川大学3年の橋本海永さん(22)が参加。「関係案内人」となっている㈱ジオコス=愛知県名古屋市=の伊藤秀一代表取締役や、関係人口拡大に取り組む住田町の一般社団法人SUMICA職員らが同行した。
 町役場に到着した一行は、町や気仙地方森林組合の各職員から町内の林業情勢などについて説明を受けた。引き続き、住民支援を展開している一般社団法人邑サポートや、住田高校内の自学自習スペース「住高ハウス○○」を運営しているスタッフからも話を聞き、特色ある教育活動に理解を深めた。
 中村さんの組織では、山仕事を始める人たち向けに〝実験スペース〟として「山守ラボ」を立ち上げている。町内の林業について知るために参加したといい「地元でやっている活動の違いを見いだしていきたい。同じことをやるのでは競争になってしまう。違いが明確な方が連携の可能性も出てくるのでは」と話していた。
 同日夜には、住民サークルが音楽活動を楽しんでいる世田米の「泉田家弐番蔵」で、交流会を開催。21日は都市部から世田米に移住した家族の住宅を訪れるほか、参加メンバーそれぞれが気になった場所なども回ることにしている。