年明けの入寮前に大船渡でインタビュー ロッテ入団の佐々木投手(大船渡高)

▲ プロ1年目の抱負を書いた色紙を手にする佐々木投手

 プロ野球ドラフト会議で1位指名を受け、千葉ロッテマリーンズへの入団を決めた大船渡高3年・佐々木朗希投手(18)が22日、大船渡市内で開かれた共同インタビューに応じ、「一軍で初勝利」とプロ1年目の抱負を力強く語った。年明けの入寮、新人合同自主トレーニングを目前に控える高校生最速右腕は、東日本大震災後支えられた地域やチームメートへの感謝の気持ちも述べ、「将来的には日本を背負うような投手となり、気仙に元気を届けたい」と誓いを新たにした。

 

1年目の抱負「一軍初勝利」

「活躍して元気届けたい」

 

 県内テレビ局、新聞社による共同インタビューは、大船渡町の大船渡プラザホテルで開かれ、佐々木投手は制服を着て臨んだ。
 来年1月上旬に入寮し、同11日からは新人合同自主トレが始まる。現在は、大船渡高でランニングや体幹強化などロッテから提示された練習メニューをこなしているといい、「合同自主トレでけがをしたり、ついていけないことがないようにしたい」と述べた。
 プロ1年目について「一軍で投げて初勝利を挙げたい」と語り、「将来的には日本を背負っていけるような選手になりたい」と高い目標を掲げた。震災を経験し「当たり前にある生活が当たり前でないと学んだ。活躍して元気を届けるなど、気仙に対して自分にできることがあると思う。少しでも地域に貢献したい」と、さまざまな場で語ってきた郷土愛を改めて示した。
 今月9日の千葉県千葉市での新入団選手発表会後、ロッテ本拠地・ZOZOマリンスタジアムを見学し、マウンドにも立った。同球場は猪川小6年時、本県沿岸被災地の野球少年を応援する学童軟式野球大会「リアスリーグ」決勝でも力投した縁のある場所。当時から身長が20㌢以上も伸び、6年ぶりにマウンドに上がった163㌔右腕は、2週間前を振り返り「観客が入ればすごいんだろうなとワクワクした」と夢を膨らませた。
 ロッテはプロ野球界の中でもファンの応援が有名。入団発表後にはファンとの交流会もあり、「想像以上にすごくて圧倒された。感動しました」と笑顔を見せた。背番号「17」をつけることに対しては「10番台はなかなか与えられるものではない。そうした期待に見合う活躍をしなければ」と気を引き締めた。
 この日は休日の過ごし方や好物、学業など「野球以外の佐々木朗希」にも話題が及び、「苦手科目は国語。現代文は筆者の主張が分からなくて」と報道陣の笑いを誘う場面も。趣味は「野球の練習をしているのが好き」と根っからの野球っ子であることを随所に伺わせた。
 自身の性格を問われると、「友達からは面倒くさくてしつこいと思われていると思う。それが僕です」と答えた。一方、高校3年間で全国からの注目度が一気に高まり、報道が過熱したことについて「チームメートや先生方に負担をかけてしまい、それが一番心配だった」と周囲への気遣いを忘れずに過ごしてきた。
 佐々木投手は10月、パ・リーグの4球団競合の末にロッテからドラフト1位指名を受けた。11月末、新人としては最高額の契約金1億円プラス出来高払い5000万円、年俸1600万円で入団に合意。今月9日には、大船渡高と同じ縦じまのユニホーム姿で千葉県千葉市内で新入団選手発表会に出席し、ファンとの交流会にも臨んだ。
 来月からは、新人合同自主トレが始まる。震災からの復興へ向かう気仙に勇気をもたらす「令和の怪物」が、生まれ育った地元を旅立ち、厳しいプロの世界へと新たな一歩を踏み出す。