「地域創造学献立」給食に 世田米中生考案のメニュー 町内中学校で提供 住田(別写真あり)

▲ 地元産食材を使った給食献立考案に携わった生徒たち

 住田町立世田米中学校(及川賢一校長、生徒62人)の3年生が考案した献立が、24日の町内中学校の給食で出された。町内小中高校の独自教科である地域創造学授業の一環で、栄養バランスなどを追い求めて知恵をしぼるだけでなく、別のテーマで取り組んでいたグループの考案メニューも取り入れた。生徒たちはプロジェクト実現を喜ぶとともに、今後の〝定着〟に期待を込めていた。

 

仲間のレシピも生かし

 

 新設教科は、文部科学省による研究開発学校事業の一環。平成29年度に世田米小、有住小、世田米中、有住中、県立住田高校の計5校が指定を受けた。教育実践の中で浮かび上がる諸課題、時代に対応した新しいカリキュラムや指導方法の開発を目指し、学習指導要領等の国の基準によらない教育課程を編成・実施できる。
 町内各学校の時間割には「地域創造学」が組まれ、地域資源を生かした社会的実践力などにつながる授業が行われている。世田米中生はこれまで「住田の魅力を発信するために、住田の○○を生かしたプロジェクトを考えよう」をテーマに取り組んできた。
 このうち、3年生の畠山徳輝君と美野航南君は「同世代の人たちに、住田町の食材を伝えたい」と、給食の献立づくりに挑戦。町内小中高校の給食を担う世田米の町学校給食センターに相談するなどして、メニューをまとめた。
 相談に先立ち、2人は献立に「クリームきのこスープ」を入れようと、10月上旬の授業で試作。この時、3年生の菊池聡太君、平空君、水野仁君のグループは地元食材を使ったレシピづくりの一環で「ありすポークの肉巻き」を調理していた。試食で好評を博したことから、肉巻きもメニューに加えた。
 学校給食センターでは、スープと肉巻きを生かした献立に向けて、職員から栄養バランスや見た目の彩りなどについてアドバイスを受け、実際に給食として出すための調整を重ねた。24日の給食では、世田米中、有住中の生徒ら向けに約140食分が用意された。
 3年生19人の教室では、メニュー作成にかかわった5人を囲むようにして会食。生徒たちからは「おいしい」「食べやすい」といった声が寄せられた。
 肉巻きレシピを完成させた菊池君は「給食で食べることができてうれしい」と笑顔。献立をまとめた美野君は「きょうを楽しみにしていた。思っていた以上においしくなっていて、給食センターの方々に感謝したい」と話していた。
 生徒たちが楽しそうに食べる様子を見守った学校給食センターの古山桂子栄養教諭は「きょうはオクラと町産のジャガイモを肉で巻いたが、本来のレシピにあるアスパラガスが旬の時期にも、提供を考えたい。今後もこのように生徒たちから提案があれば柔軟に対応し、身近に感じられる部分で食育が広がっていけば」と語り、期待を込めていた。