地域課題共有し解決を 沿岸13市町村で構成 岩手三陸連携会議 大船渡で

▲ 大船渡市で開催された「岩手三陸連携会議」

 気仙3市町を含む岩手沿岸13市町村で構成する「岩手三陸連携会議」(議長・戸田公明大船渡市長)は24日、同市盛町のシーパル大船渡で開かれた。各市町村の首長らが出席し、地域課題の共有を図りながら、その解決に向けて意見を交わした。
 岩手三陸連携会議は、中長期的に持続可能な三陸沿岸地域の形成に向け、人口減少対策や定住促進など、必要な課題について協働で解決していこうと平成28年度に設置。年に1回、構成市町村の持ち回りで会議を開いており、本年度は大船渡市が会場となった。
 会議には、田野畑村、山田町を除く11市町村の首長らが出席。気仙からは戸田市長、住田町の神田謙一町長、陸前高田市の岡本雅之副市長が臨んだ。
 戸田市長は議長あいさつで、「さらなる三陸沿岸地域の発展に向け、構成市町村の皆さまと幅広く意見を交換し、協議を深めながら、より一層連携を強化して多様な課題の解決に取り組んでいきたい」と述べた。
 議事に移り、これまでの取り組み状況や今後の取り組み項目を確認。
 取り組み項目では、今秋の「ラグビーワールドカップ2019」釜石開催を契機とした三陸沿岸地域における広域観光等の連携・強化を図る取り組みを進めることとし、具体的に「『三陸ジオパーク』および『みちのく潮風トレイル』等の広域的な観光資源の活用」など5項目を設定。ワーキンググループを設置して、協議を進めることとした。
 また、サンマやサケなど主要魚種の不漁が、三陸沿岸地域における水産関連産業に深刻な影響を及ぼしかねないとして、国などにその対策を求める要望活動の実施を決定。出席者からは、東京電力福島第一原子力発電所事故に伴う汚染水処理、不漁の一因とされる海水温上昇への対応などを求める声も上がった。
 次期議長・副議長の選任も行われ、新しい議長には陸前高田市の戸羽太市長を、副議長には釜石市の野田武則市長を選出。任期は来年度において最初に招集される総会までで、次回会議の会場、事務局は陸前高田市が務める。
 また、県が開設した観光地域づくり推進法人・三陸DMOセンターについて、出席者から「高田松原津波復興祈念公園などが設置された陸前高田市とは、今後密接にかかわっていかなければならない。同市に事務局を移すよう要望を」との提案があり、全会一致で決めた。
 このほか、復興庁が「復興関係観光事業の実施」、宮古市が「県立宮古水産高校への養殖科の新設」、釜石市が「ラグビーワールドカップ2019釜石開催」に関し、情報提供や報告を行った。出席者らは各市町村の現状や課題などを踏まえながら話し合い、よりよい三陸地域の形成へ思いを一つにした。