高校生企画の「放課後喫茶」 生徒有志で運営 交流図るイベントも 大船渡(別写真あり)
令和元年12月29日付 7面

中高生が気軽に集い、新たなつながりを構築できる居場所をつくろう──こうした思いのもと、大船渡市内にこのほど、「放課後喫茶Feel Rain(フィールレイン)」が誕生した。企画、運営に当たっているのは、気仙の高校生たち。27日には、大船渡町のおおふなぽーと(防災観光交流センター)で初のイベントも開催し、参加者らが国や学校の枠を超えて交流を図った。
中高生の新たな居場所に
放課後喫茶を企画したのは、高田高校3年の紺野伊歩希君(18)。「中高生の日常生活は、学校と家が中心。日常の延長線上に居場所をつくり、そこで出会う人たちとの交流を通じて、新たなつながりを構築できないか」との思いが出発点となった。
その開設には、紺野君の友人たちをはじめ、気仙各地で中高生の支援活動に当たるNPO法人With You Global、東日本大震災後に気仙などの被災地で活動していた支援チームからなるOLD教会などが協力。盛町舘下地内の同教会事務所(おはなしころりん事務所隣)を会場に借り受け、11月16日にオープンした。
毎週金・土曜日に開設し、会場では運営する高校生有志がコーヒーを入れて生徒たちを迎える。そこで顔を合わせた者同士が会話し、交流を図る。運営費は、会場内の募金箱に集まった善意でまかなっているという。
開設から1カ月余りがたった27日には、初のイベントを開催。テーマは「NY:XMAS(ニューヨークリスマス)!!来年に向けてできることはまだあるかい?」で、参加者同士が交流を通じて新たな関係を築き、今後の各種活動に生かしてほしいとの思いを込めた。
高田、大船渡、大船渡東、住田各高校の生徒12人と、交流支援で来市したアメリカ・ニューヨークのキリスト教教会関係者ら計20人余りが参加。紺野君ら放課後喫茶の企画、運営に当たる有志らが進行した。
紺野君は趣旨説明をしながら、「関係を築いて話し合い、楽しんでほしい」とあいさつ。参加者らは相手のいいニュースを尋ねながら行う自己紹介や、今年一番の思い出を話し合うグループトークなどを通じ、学校、年齢、国を超えて互いへの理解を深めた。
また、放課後喫茶ならではのコーヒー提供も。後半は、大船渡高校3年の岡澤茶都美さん(18)と朝倉楓華さん(18)が、同校の独自学習「大船渡学」で取り組んだ多文化共生や障害者に関する研究内容を発表した。
最後は、これまでの対話や研究発表などを通じ、参加者らが来年やってみたいことへの思いを共有。キリスト教教会の関係者らは、生徒たちの将来や被災地の早期復興に祈りをささげ、手作りのケーキを贈った。
朝倉さんは「放課後喫茶は初めて。海外の方々と最初は言葉が通じるか不安だったが、互いに理解し合おうという気持ちから会話ができ、楽しかった。放課後喫茶を開く同い年の行動力には尊敬する。普段の開設日にも参加したい」と笑顔を見せた。
紺野君は、放課後喫茶をテーマにしたプロジェクト研究も進めており、今後はこの取り組みが中高生の居場所になり得るかなどを検証していくという。「イベントではアクシデントも発生したが、自分がやりたいことなどを確認できた。今後は放課後喫茶の主軸を対話に移しながら、地元で暮らす中高生にとって心地よい時間を提供していきたい」と話していた。
放課後喫茶は、金曜日の午後5時~7時、土曜日の午後1時~3時に開設。次回は1月10日(金)に、盛町のOLD教会事務所で予定している。