伝統再興の思い込め 五葉地域づくり委「神社仏閣と郷土芸能」発刊 住田
令和元年12月29日付 8面
住田町の住民協働組織・五葉地域づくり委員会(藤井洋治会長)はこのほど、地区内で古くから受け継がれてきた歴史資産をまとめた「神社仏閣と郷土芸能」を発刊した。高齢者らから聞き取った言い伝えなどを記したほか、復活の願いを込めて現在は活動していない郷土芸能も紹介。同地区公民館などで閲覧できる。
町北東部に位置する五葉地区の人口は約300人で、高齢化率は55%前後。同委員会は、町が進める「小さな拠点づくり」の一環で、平成29年度から持続可能な地域づくりや活性化を見据えた活動を本格化させている。
組織内の「第3グループ」では本年度、地域に受け継がれている伝統文化を大切にしていこうと、冊子づくりに着手。これまで発行された「五葉地区地域資源マップ」や住田町史を参考に概略をまとめ、さらに地区内の高齢者にも聞き取りを行った。
神社仏閣では、檜山阿弥陀堂とおかくら様(御賀具羅神)に加え、地区内の数カ所で見られる「山の神」を掲載。郷土芸能では、五葉権現舞、五葉念仏剣舞、五葉山火縄銃鉄砲隊、寒倉鹿踊りの4団体を紹介している。いずれも、カラー写真を添え、分かりやすい文体でまとめた。
このうち、寒倉鹿踊りは、陸前高田市横田町舞出地域から伝わったもので、活気や威勢の良さが特徴。冊子では、踊りの中心となる「仲立」を務めた初代から11代までの名前も紹介している。
近年は後継者がおらず、舞が披露されることはなくなったが、同委員会では「復活の機運が出た時の参考になれば」と掲載。地区内では、五葉念仏剣舞が昭和33年から後継者難で活動が寸断されたが、昭和60年に復活を果たした事例もある。
編集にあたった第3グループ事務局の紺野栄子さん(63)は「小さな地区ではあるが、多くの伝統芸能がある。せっかくあるものなので、後世に受け継いでほしい。子どもや若い世代が手にとることで、五葉地区の伝統文化を意識しながら成長してもらえれば」と話し、期待を込める。
冊子はA4判カラーで、全8㌻。500部作成し、地区内全世帯に配布したほか、視察対応などで活用する。五葉地区公民館では、誰でも自由に閲覧できる。