「防災士」取得後押し 取得時経費を助成 地区本部の中核住民支援 住田町
令和元年12月29日付 1面
住田町は、自然災害発生時に町内各地区に設けられる対策本部で中核として活動する住民らを対象に、防災士の資格取得を支援している。本年度は県が主催する防災士養成研修会の受講費や交通費、宿泊費を助成し、3人が取得した。新年度も同様に助成しながら防災士の資格取得者を増やすことにしている。
防災士は、平成15年に創設された特定非営利法人日本防災士機構による民間資格。防災に関する一定の知識や技能取得者に認証。「自助」「共助」「協働」を原則とし、地域社会のさまざまな場面でリーダー役を担い、防災力を高める活動が期待されている。
災害発生時は、避難誘導や救助活動、避難所の運営といった活動が想定される。さらに、消防隊や自衛隊の到着後は、ボランティアなどと協働で被害拡大を抑える活動も考えられる。
一方、災害が発生していない時には、防災コミュニティーの形成や連携強化、地域密着型の防災・減災意識の啓発、防災訓練の推進、防災知識の普及などに努めるといった役割を担う。
地域の自主防災組織や学校、福祉施設、事業所などで防災士を配置する動きが広がり、昨年12月時点で全国で16万1650人が取得。県内では1990人となっている。
資格取得に向けては、同機構が認証した研修機関が実施する研修カリキュラム履修後に取得試験を受け、合格後は消防署などが主催する救命救急講習に臨む。受講料や申請料などの総費用は4万5000円程度という。
県は今年9月、防災士養成研修会を開催。町は県とともに受講者経費を支援したほか、2日間にわたり盛岡市で行われたことから、町として独自に宿泊費と交通費も補助対象とした。
町内からは下有住地区公民館長の金野純一さん、上有住地区公民館長の村上繁喜さん、五葉地区公民館長の藤井洋治さんが受講し、資格取得試験にも合格。10月には住田分署内で行われた救命救急講習を受け、防災士資格を得た。
全国各地に甚大な被害をもたらした台風19号が襲来した10月12日から13日にかけ、町内では地区ごとに避難所を運営。さらに、地区内の自治公民館単位でも開設の動きがあった。近年、災害が大規模化・多様化している中、幅広い層の住民が主体的に防災活動にあたる体制づくりが求められている。
町総務課では「地区本部で中核的な役割を担う住民や、自主防災組織のリーダーらの受講を支え、地域の防災力向上につなげたい」としている。問い合わせは同課防災係(℡46・2112)へ。