〝まちの縁側〟完成近づく 市街地の複合施設 世界的建築家の隈氏が設計 陸前高田(別写真あり)

▲ 工事が最終盤を迎えている施設

26日に落成式

 

 世界的な建築家である隈研吾氏が設計した複合施設として、陸前高田市の中心市街地に整備が進められてきた「陸前高田アムウェイハウス まちの縁側」の落成式が26日(日)に開催されることが決まった。「北限のゆず」を使った商品を扱うカフェや、レンタサイクル窓口を含む観光案内所など、入居テナントも2月上旬までに順次オープンする予定といい、同市の観光振興を後押しする施設となることが期待されている。
 同施設は、一般財団法人日本アムウェイ財団(東京都、佟嘉楓代表理事)が被災地コミュニティー再生支援として、総事業費3億8000万円をかけて整備。設計は東京五輪のメーン会場・新国立競技場の整備事業も手がける隈研吾建築都市設計事務所が担当し、インテリアには日本を代表するテキスタイルブランド「ミナ・ペルホネン」のデザイナー・皆川明氏が携わる。
 建物は木造平屋建てで、同市の㈱長谷川建設が施工を担当。気仙大工の伝統的な技法の一つである「せがい造り」を特徴とし、大屋根の下で人々の自然な交流がはぐくまれるコミュニティー施設となることを願い、〝まちの縁側〟の愛称がつけられた。
 屋根の上には展望スペースを設置。建物中央の長屋門からゆるやかな傾斜のスロープが続いており、屋根上から高田松原地区を一望することができるという。
 施設はアバッセたかた南側に位置し、市観光物産協会による観光案内所、市社会福祉協議会による「暮らし相談窓口」、NPO法人きらりんきっずが開設する子育て支援広場、就労継続支援B型事業所・あすなろホームの利用者が接客などを行うカフェで構成される。
 東日本大震災後、高田町の仮設商店街「つどいの丘商店街」内の一室に「おやこの広場」を開設し、現在は竹駒町に仮の施設を置くきらりんきっずは、28日(火)から同ハウス内で通常営業を開始。観光案内所や相談窓口も、それぞれの準備が整い次第オープンする見通しという。
 あすなろホームによる「はぴなろカフェ」は、2月1日(土)に開業予定。店舗名は〝あすなろ〟と〝ハッピーになろう〟という思いを掛け合わせた。障害者の就労支援施設として、店内では同ホーム利用者が製造した焼き菓子や、コーヒーなどを提供する。
 また、同市産の「北限のゆず」を使って開発された飲食物もメニューに盛り込むほか、ハンドクリームなどのユズ製品も販売する。
 あすなろホームの西條一恵施設長は、「気軽に集まってお話ししたり、少しおなかがすいたときに立ち寄れる場所にしたい。オープンは午前10時から午後2時30分までと短いが、少しでも利用者の工賃アップにつながるよう頑張っていきたい」と意気込む。
 市地域振興部は「落成式当日は、式典後の片付けや各テナントの作業等もあり、まだ施設内部には立ち入れないかもしれないが、午後には市民の皆さんにも屋根上の展望台などを見ていただけるようになると思う」としている。
 26日は午前中に式典を実施し、午後には屋根上の展望台など施設の一部が一般にも開放される見通し。同2時からは高田町の市コミュニティホールで、隈氏による落成記念特別講演会が開かれる。入場無料。