今季サンマ大不漁に 前年比63%減の6400㌧ 金額は36%減の20億円余 大船渡
令和2年1月9日付 1面

全国さんま棒受網漁業協同組合(全さんま)は7日、平成30年・令和元年の対比サンマ水揚げ状況(12月31日現在、最終値)を発表した。昨年5月から7月の公海操業分を除く大船渡市魚市場への水揚げは、数量が6400㌧(前年比63%減)、金額は20億986万円(同36%減)。数量・金額ともに本州一は維持したが、20年ぶりに1万㌧を割る大不漁に終わった。
20年ぶりに1万㌧割る
全国実績は過去最低
全さんまによると、昨年12月31日現在での全国の総水揚げ数量は4万517㌧(前年比66%減)、金額は128億522万円(同43%減)で、統計が残る中で最低数量だった昭和44年の5万2000㌧を大きく下回る大不漁に見舞われた。
サンマは例年、夏から秋にかけて公海から日本近海に来遊するが、昨年は来遊が遅れて、9月末時点の全国の総水揚げ量は前年の1割強にとどまった。それ以降も大幅に来遊量が増加することはなく、さらに漁場も例年より沖合に形成された。
10月末時点では前年比で約2割、11月末時点で約3割と少しずつ盛り返したものの挽回には至らず、終わってみれば過去最低を更新する厳しい結果となった。
大船渡市魚市場には昨年8月27日に初水揚げされたが、それからパタリと水揚げがなくなり、2週間以上経過した9月13日にようやく2度目の水揚げが行われた。
漁期序盤、サンマ船の乗組員からは「群れが薄く、果たしてこれからよくなるのか…」「サンマ漁は50年やっているが、かつてない経験だ」といった今季の漁況を不安視する声が聞かれた。
11月に入ってサンマのまとまった群れが南下し、三陸沖に漁場が形成されるようになってからは、同魚市場にも1日当たり200㌧~400㌧ほどが水揚げされるようにはなったが、それでも序盤からの不漁を巻き返せず、結果的には終漁間際の12月以外はすべての月で前年を下回った。
全さんまによると、同魚市場へのサンマ水揚げ数量は震災前の平成20年が3万400㌧、21年が2万8995㌧、22年が2万1687㌧。震災で同魚市場も大きな被害を受けた23年は1万8438㌧、翌24年は2万385㌧となり、25年は1万4585㌧に落ち込んだが、26年は2万7133㌧と持ち直した。
しかし、27年から再び低迷し、同年は1万3684㌧、28年は1万3845㌧、29年も1万1088㌧と3年連続で不漁に見舞われた。
30年は前年比で57%増の1万7379㌧とやや復調傾向を見せたが、今季は不振を極め、5700㌧に終わった平成11年以来20年ぶりに1万㌧を割った。
同市魚市場を運営する大船渡魚市場㈱の佐藤光男専務は「前年と比較して金額で4割減、数量で6割減というのは、地域経済にとっても厳しいものだった。来季は、サンマが日本沿岸に寄るような状況となって小型船も漁獲できるようになれば」と話していた。