設計者の思いに触れる 高田松原津波復興祈念公園 建築ガイドツアーを開催 陸前高田(別写真あり)

▲ 参加者が復興祈念公園内を回り、見どころや設計者の思いに触れた

 県主催のいわてTSUNAMIメモリアル講座「建築ガイドツアー」は11日、陸前高田市の高田松原津波復興祈念公園内で行われた。参加者は同公園内に県が整備した東日本大震災津波伝承館の設計者をガイドとして公園内を巡り、同公園・各施設の見どころや設計者の思いに触れた。
 同公園は国営追悼・祈念施設、道の駅高田松原、同伝承館で構成。ツアーは各施設への理解を深めてもらおうと企画したもので、同伝承館を設計した㈱内藤廣建築設計事務所(東京都)の事務所スタッフ・前川智哉さん(28)がガイドを務めた。
 ツアーは午前、午後合わせて3回実施。このうち、最初のツアーには気仙各地から約30人が参加した。
 一体的に整備された道の駅高田松原と伝承館の設計について、前川さんは建物からぬくもりを感じられるよう、建物を支えるコンクリートの柱の型枠に杉板を用いたことや、壁に県産のカラマツを使ったこと、天井を凸凹にすることで飽きのこないデザインにしたことなどを説明。
 また、祈りと鎮魂の意味合いが込められた施設正面のホワイトコンクリートには、震災犠牲者数と同じ1万8434の明かりが並べられていることなど、細かなこだわりにも触れた。
 参加者は設計者の震災に対する思いと、それが形となった施設について学び、改めて同公園への理解を深めていた。
 大船渡市三陸町越喜来から参加した矢作清英さん(67)は「すごく落ち着きのある建物だと思う。実際に建築に携わった方から話を聞くことができて、理解が深まった」と話していた。
 平成29年から施設オープンの昨年9月まで、陸前高田市に滞在して工事を見守ってきた前川さんは「今回のツアーで、われわれがどのように震災と向き合ってきたかお伝えできたと思う。単なる伝承施設、道の駅ということではなく、復興祈念公園がどのような意味を持っているのかを未来に伝えるために、今後もサポートしていきたい」と、震災伝承への思いを口にした。