615人が20歳の誓い 気仙両市で成人式(別写真あり)

▲ 華やかな晴れ着姿で門出を祝い合った新成人たち

令和の時代築く担い手に

 

 大船渡市と陸前高田市の「成人式」は12日、それぞれ行われた。冬の成人式としては令和初となった今回は、平成11年4月2日から同12年4月1日までに生まれた大船渡市414人、陸前高田市201人の計615人が対象。晴れ着やスーツ姿で式に臨んだ新成人らは、これまで成長を見守ってくれた家族や恩師、地域の先輩たちに感謝の思いを伝えるとともに、東日本大震災からの早期復興と新たな時代を築く担い手として力を尽くしていくと誓った。(7面に関連記事)

 

地域への貢献と震災伝承に力を/大船渡

 

 震災後は冬に行っている大船渡市の成人式。今年は初めて午後に開かれ、会場のリアスホールには、新成人321人が振り袖やスーツ、羽織はかま姿で出席し、旧友らとの再会を喜び合った。
 式典は、新成人有志の実行委員会(佐々木皓雄委員長)が進行。新成人たちは盛小学校児童らと市民歌を斉唱し、成人を迎える前に亡くなった同級生、震災の犠牲者らに黙とうをささげた。
 戸田公明市長の式辞、熊谷昭浩市議会議長の祝辞に続き、実行委の及川大生副委員長(20)=吉浜中卒、会社員=に戸田市長が記念品を贈呈。新成人代表2人が、感謝の思いを込めて抱負を発表した。
 佐々木委員長(20)=赤崎中卒、同=は「感謝の気持ちを胸に、令和の時代を、これからの大船渡を築き上げていくことが、皆さまへの恩返し、地域貢献になるのではないかと思う。立派な大人になれるよう精進し、震災をこれからの人たちに伝えていきたい」と、岡﨑杏奈さん(20)=吉浜中卒、県職員=は「今後は、私たちが誰かのために、社会のために自らの手をさしのべ、力を与える番。変わりゆく環境の中で培った精神力と、20年間を通して見てきたもの、経験してきたことを人生の糧に、一社会人として尽力していく」と決意を込めた。
 式典前には、NPO法人wiz代表理事の中野圭氏が記念講演を行った。
 金崇晃さん(20)=末崎中卒、花園大学2年=は「実家の寺を継ぐため、大学卒業後は専門の修行が控えている。勉強と修行を終えて一日も早く地元に帰り、立派になった姿を見せて地域に貢献したい」と意欲。
 志田恵萌さん(20)=赤崎中卒、岩手県立大学2年=は「20年間は早かったけど、震災を経験し、両親など多くの人に支えられた。これからは感謝の気持ちで恩返しをしていきたい」と誓っていた。

 

仲間とともに笑顔で式典に臨んだ新成人ら

恩返しと仲間への思い胸に/陸前高田

 

 陸前高田市の成人式は、高田町の市コミュニティホールで挙行された。8年前、小学5年生の時に東日本大震災に見舞われた201人が新成人として晴れの日を迎え、式典では代表者が「支援される側から支援する側、恩返しする側になったと実感する」と力強く語った。
 対象者のうち166人が出席。成人の誓いでは、渡辺玲さん(20)=旧気仙中卒、会社員=と、熊谷未来さん(20)=旧第一中卒、宮城学院女子大学2年=が登壇した。
 主に配管を専門とする機械製造に携わる渡辺さんは「国内各地で起きた災害時に使用され、間接的に震災復興に貢献している。将来は専門的な知識や技術を身に付け、災害の多い日本を支えられるようになりたい」と述べた。
 熊谷さんは震災経験者として、地元に貢献したいという思い、伝えていかなければならないことがあるという責務について語ったうえで、大震災で犠牲となった高田小学校時代の同級生・松田瑞生さんへの思いを込め「彼女の分まで志を高く持ち、まわりの人たちとの関わりの中で強く歩み続けていく」と力を込めた。
 式典に続き、成人式実行委員会(村上祐介委員長)が記念行事を実施し、各中学校の担任らが寄せたビデオメッセージを上映。映像の中に中学校時代の恩師が登場するたび、会場からは大きな歓声が上がった。
 会場では、県建設業協会大船渡支部青年部会の企画で平成23年度の小学校卒業時に封をしたタイムカプセルの開封も。12歳の自分が20歳の自分のために残した手紙などを開けた新成人たちは、同級生とともに笑い合い、子ども時代の思い出を懐かしんだ。
 現在、市内で家業を手伝いながらバンド活動をしたり、音楽イベントを企画するなどしている畠山都和さん(20)=旧第一中卒=は、「地元にいる私たちで地域を盛り上げ、若者も楽しめるまちをつくっていきたい」と語り、「友達の存在がなければ、乗り越えられなかったこともあった」と仲間たちとの再会を喜んでいた。