〝氷の屏風〟現れぬまま 上有住の鏡岩 住田

▲ 岩肌があらわになったままの状態が続く鏡岩

 暖冬傾向が続く影響で、住田町上有住の景勝地・鏡岩では例年この時期に見られる〝氷の屏風〟が現れず、岩肌があらわになったままの状態が続く。真冬ならではの美しい眺めが目にできず、住民からは天候不順がもたらす今後の影響を懸念する声も聞かれる。

 

冬の風物詩に異変 暖冬傾向の影響で

 

昨年同時期の鏡岩。例年は壮大な氷で魅了する

 鏡岩は、月夜になると手前の松の影がまるで鏡に映るかのように岩に映し出され、見事な情景を生むことから名付けられたとされる。湧き出る水は、目の病に効用があるとの言い伝えもある。
 夏は涼を感じることができ、秋には隣接するカラマツ林の葉が色づくなど、季節ごとに訪れる楽しさがある。冬場は岩肌に凍り付いたつららが連なり、壮大な屏風のような景観が生まれる。
 つららは例年、12月から出始めるが、今月15日時点では見られない。樋を流れる水も凍らず、暖冬傾向の影響が出ている。
 道路脇に雪が残るものの、鏡岩に隣接するカラマツ林内には積雪はなく、山々は葉が落ちた木々の枝先が浮かび上がる。少雪・少雨傾向により、川では水位低下であらわになった石灰岩質の白い川原石も目立つ。
 地元在住の小松民夫さん(79)は「普段なら岩肌が氷で真っ白になる。散歩でよく来ているが、今年は氷が出てこない。水も少ない。こんな年はなかなかない。春から夏にかけての天候不順や農作物への影響などにつながらなければいいが」と語る。
 盛岡地方気象台の観測によると、住田の最低気温は12月上旬と中旬は平年を下回る日が続いたが、下旬以降は暖かい日が続き、今月は平年を下回ったのは3日だけ。最高気温が氷点下となる真冬日は12月、1月ともゼロ。まとまった降雪もなく、真冬の〝芸術〟に必要な寒さと雪が少ないまま推移している。
 15日の気仙は時折降雨に見舞われたが、住田の最低気温は氷点下0・9度(平年比4・2度高め)で、3月下旬並みの暖かさ。最高気温は5・0度(同1・8度高め)だった。
 16日は冬型の気圧配置が次第に緩み、県内は曇りか晴れとなる見込み。2月上旬までの天候見通しでは、気仙を含む北日本太平洋側の気温は高めに推移し、晴れの日が多い予報となっている。