来館者10万人に到達 東日本大震災津波伝承館 陸前高田

▲ 10万人到達を祝って記念品贈呈式が行われた

 陸前高田市の高田松原津波復興祈念公園内に県が整備した東日本大震災津波伝承館の入館者が17日、10万人に達した。昨年9月22日の開館から4カ月足らずでの大台到達。同館では節目の入館者に記念品を贈るとともに、教訓継承という役割を果たしていくことへの決意を新たにした。

 

開館から4カ月

教訓継承への決意新たに

 

 同館は、東日本大震災の教訓伝承、発災から復興までの状況と支援への感謝発信を目的として整備。昨年、国営追悼・祈念施設の献花の場や「奇跡の一本松」見学ルート、道の駅「高田松原」とともにオープンした。
 開館から6日後には来館者が1万人に到達。その後も国内外から多くの来館者が訪れており、修学旅行や行楽シーズンの土・日曜日には2000人前後の来館があったという。
 10万人目の来場者となったのは、秋田県三種町の自営業・阿部富士浩さん(55)、真由美さん(56)夫妻。同公園内にある奇跡の一本松を見学しようと陸前高田を訪れた際、同館が整備されたことを知って足を運んだという。
 10万人到達を祝って記念品贈呈式が開かれ、同館の立花起一副館長が県産ブランド米食べ比べセットやりんごジュース詰め合わせ、県のPRキャラクター「そばっち」のぬいぐるみなどを夫妻に手渡した。
 阿部さん夫妻は震災当日、秋田県にいて強い揺れに襲われたといい、「揺れは大きかったが、被害は受けなかった。テレビで被災地の映像を見ていたが、あの時は本当に言葉が出なかった」と振り返る。
 「震災以来ずっと、陸前高田にお見舞いに行きたいと思っていた」という阿部さん夫妻。車で陸前高田市内を走りながら、車内では「ここにも家があったのかな」「道路も変わったんだろうな」と話していたという。
 同日は、阪神・淡路大震災が発生してから25年の節目の日。富士浩さんは「阪神・淡路も、東日本大震災も忘れてはいけない。津波の体験は伝えていくべきだと思うので、この施設はすごく意義のあるものだと思う。再び災害があった時、震災の教訓を生かして誰も災害に遭わないようにしてほしいし、われわれもそうしていきたい」と、防災意識の広がりを願った。
 立花副館長は「(早期での10万人達成は)道の駅や追悼施設との相乗効果が大きかったのではないか。今後も、いろいろな企画展を開催するなどして、多くの方に来ていただきたい」と話していた。