魅力や課題に目を向けて 日頃市地区公民館で「未来を語る会」WS 大船渡(別写真あり)

▲ 日頃市地区の若手住民らが意見交換を行う「語る会」がスタート

 大船渡市の日頃市地区公民館(山下通館長)による「日頃市の未来を語る会」は17日夜、日頃市町の同館でスタートした。地区内の各地域から推薦された50歳以下の若手住民ら約30人が集まり、ワークショップを展開。この日は「日頃市地区の住みよいところ、住みにくいところ」をテーマに意見交換などを行い、参加者らは地域の魅力や課題に改めて目を向け、考える機会とした。語る会は今後、5月まで全5回予定されている。

 

若手住民らが意見交換

 

 日頃市地区では平成29年度から市の集落支援員が配置され、〝地域の宝〟を再発見するワークショップや、地域資源を活用する取り組みなどを展開。今年春には、地元の日頃市中学校が学校統合によって閉校となるため、校舎等の利活用策についても住民間での検討が必要となっている。
 語る会は、こうした現状や課題を踏まえながら、持続可能な地区の形成に向けて、住民自らが地区の課題や将来像を〝自分ごと〟ととらえられるような意識の醸成を図ろうと企画。住民が主体となって地区のことを知り、共有する場にも位置付けており、市、市市民活動支援センター、特定非営利活動法人いわて地域づくり支援センターが協力した。
 開催に当たっては、地区内に13ある各地域に50歳以下の住民3人ずつ、合わせて41人の推薦を依頼。初回はこのうちの29人が参加し、同館や協力機関の関係者らも出席した。
 同館の村上雄一副館長は「日頃市の宝、課題、中学校跡地の利活用も含めて皆さんの意見をいただきたい。初回から積極的な意見、提言をお願いしたい」とあいさつ。その後は、いわて地域づくり支援センターの若菜千穂さんが進行を務めた。
 参加者らは、地区内の人口推計や地元団体からのヒアリング内容から、地域の課題を把握。6班に分かれ、「日頃市でやりたいこと、できること、地域に求められること」を念頭に置きながら、前半は暮らしに必要な施設、自慢できる場所、未来に残したいものなどを日頃市の地図に書き込んだ。
 続いて、「日頃市の住みよいところ、住みにくいところ」を一人一人付せんに書き出し、考えを共有。最後に全体発表を行った。
 各班では「住みよいところ」として、「自然が豊か」「住民同士の助け合いがある」「観光資源の可能性が高い」「固定資産税が安い」などと紹介。「住みにくいところ」には、「交通の便が悪い」「市の水道が来ていない」「人が少ない」「鳥獣被害が多い」といった項目を挙げた。
 中には、「隣近所で助け合えるが、つき合いの幅が広いので出費が多い」「高齢者が元気なのはいいが、若手が育たない面もある」との指摘も。「豊かな地域資源に気づいていない住民も多い。発信をしていけば、今後の日頃市のためになるのでは」という提言もあった。
 参加した平さおりさん(37)は、「最初はどういうものか分からなかったが、ほかの地域の方々と意見を交換でき、もっとこういう機会があったらいいと思った。毎回参加したい」と話していた。
 村上副館長は「若い方たちから地域のいいところも悪いところも全部出してもらい、新たな取り組みの提案につなげたい」と期待。同館は20日から、15歳以上の地域住民約1600人を対象に「町民アンケート」も行い、結果は今後の話し合いに生かしていく。
 ワークショップは5月まで月1回開催。話し合った内容は、日頃市中学校活用等検討委員会(船野克之委員長)へ提言するとしている。