地域の歴史知る施設着工 市立博物館新築工事 令和3年春の開設目指す 陸前高田(別写真あり)

▲ 再建される市立博物館の完成予想図

市などの関係者により安全祈願の神事が行われた

 陸前高田市立博物館の新築工事安全祈願祭は18日、高田町字馬場前の建設予定地で行われた。市と工事関係者らが「海とともに生きる陸前高田の風土と歴史、さらなる魅力を発信する施設」の無事完成を祈った。工期は令和3年2月までで、3年度初旬の供用開始を見込む。
 市と市教育委員会の関係者、設計・監理、施工関係者ら約50人が出席。神事で工期中の安全を祈願した。
 戸羽太市長は「東日本大震災で被災後、市立博物館などの展示品の価値が見直されたばかりでなく、文化財レスキューの活動も世界的に注目されている。まち全体を活気づけてくれるような施設にしていきたい」とあいさつ。無事故と早期完成を願って工事関係者らを激励した。
 新施設は、大震災で被災した市立博物館と「海と貝のミュージアム」の合築で、鉄筋コンクリート造(一部鉄骨造)の2階建て。延べ床面積は、1階、2階、身障者ら向けの屋根付き駐車場と合わせて約2800平方㍍。建築工事費は18億7407万円で、㈱内藤廣建築設計事務所が設計・監理、㈱佐武建設が施工を担う。
 一般に公開される常設展示室、企画展示室はいずれも1階にあり、2階は収蔵室や機械室となる。屋上には、南側の高田松原方面や唐桑半島までの景色が一望できる展望デッキを整備。建物東側には既存の東日本大震災追悼施設と復興まちづくり情報館があり、同市の被災と復興の状況についても併せて発信する。
 展示物の大半は、津波被害を受けたのち修復された同市の収蔵品。「文化財レスキュー」や「安定化処理」技術の構築など、多くの支援を受けて同館が復興を遂げたことも知ってもらうため、学芸員らが標本などの資料を修復したり管理するための「作業室」は、一部ガラス張りとなっている。
 また、本県では県立博物館と一関市立博物館のみとなっている「公開承認施設」として認められ、完成後は国宝や重要文化財なども展示できるようになる。
 同建築設計事務所代表取締役の内藤廣さんは「屋上には海とまちの復興状況が望める展望スペースを、ひさしの下には〝たまり〟を設けて、人が集う場所になるよう考えた。文化財の保存修復の過程も、ぜひ多くの方に見てもらいたい。今までの博物館とはまったく違う、新しい施設になる」と話し、完成後に期待を寄せた。