絵手紙で国土交通大臣賞  高田東中3年の熊谷さん 陸前高田

▲ 最高賞の国土交通大臣賞を受賞した熊谷さんの作品

熊谷寧音さん

 国土交通省が主催する令和元年度「河川愛護月間絵手紙」のコンクールで、陸前高田市立高田東中学校3年の熊谷寧音さん(15)の作品が最優秀賞として全国でただ一人表彰される国土交通大臣賞に輝いた。一般を含め全国から寄せられた1000点を超える作品の頂点に立ち、絵に込めた気持ちが伝わったことへの喜びを新たにしている。

 

河川愛護月間コンクールで

応募1000点余の頂点に

 

 同絵手紙コンクールは、河川愛護月間(7月1日〜31日)における活動の一環として、全国の小学生、中学生、高校生、一般を対象に毎年実施されているもの。本年度は1049点の応募があり、有識者等で構成する選定審査会において、最優秀賞1点を含む20点の入賞作品が決定された。
 熊谷さんの作品は、木漏れ日がまぶしい夏の川の浅瀬を舞台に、子どもたちが水しぶきを立てながら遊んでいる場面を描いたもの。川底まで見えそうな透明度の高い澄んだ水の中に足をつけ、水をかけ合う男の子たちの様子が生き生きと表現されている。
 熊谷さんは、「日本の原風景としての川、誰が見ても〝懐かしい〟と感じられるような川を描きたかった」といい、幼いころに川で遊んだ記憶や、さまざまな河川の写真、「何処へなりと遊べ 夏山 夏の川」という正岡子規の俳句をもとにイメージを膨らませた。
 スマートフォンやパソコン、ゲーム機といった情報機器の発達によって子どもの娯楽も変化し、外遊びする機会が減る中、熊谷さんは「便利な機械が進化するのもいいことだけれど、自然と触れ合う場面も大事にしたい」という思いがあった。
 自身も自然を体感できる遊びが好き。「(液晶画面で)画像を見るだけなのと、実際に自然の中へ飛び込むのとでは、五感に訴えてくる刺激が全然違う。これを見た人が川に関心を持ってくれたり、川へ遊びに行きたいと思ってくれたらすてきだなあと思いながら描きました」という熊谷さんは、受賞の知らせを聞いた時「絵に込めた気持ちが伝わったのかな」とうれしくなったという。
 自分でもうまくいったと思うのは、左側で水をかけている男の子の姿。「背中から男の子の楽しそうな感情が伝わるように描けた気がする」と語り、「実は俳句の『夏山』の部分を『夏川』と書いてしまった。でもそれがかえって功を奏したのかも」とはにかむ。
 2年生の時には、「第41回全国海の子絵画展」中学校の部で最高賞の文部科学大臣賞にも輝いた熊谷さん。高校受験を控える今、「高校生になったらしてみたいことはいろいろある。『やらなくては』と縛られるのではなく、何か『これだ』と思うものができた時にはまた絵を描いてみたい」と話していた。