「まちの縁側」オープン 人々の集いの場に 気仙大工の技光る木造施設 陸前高田(別写真あり)

▲ 陸前高田市の中心市街地に完成した「まちの縁側」

 世界的建築家の隈研吾氏が設計し、陸前高田市高田町の中心市街地で整備が進められてきた「陸前高田アムウェイハウス まちの縁側」の落成式が26日に行われた。気仙大工の伝統の技が光る大屋根の下で、子育て世代や障害者、お年寄りなど、さまざまな人々が垣根なく交流をはぐくむコミュニティー施設として、産声を上げた。
 同施設は、一般財団法人日本アムウェイ財団(東京都、佟嘉楓代表理事)が、東北の被災地支援プロジェクトの一環として整備。
 国立競技場の設計に携わった隈氏が設計、日本を代表するテキスタイルブランド「ミナ・ペルホネン」のデザイナー・皆川明さんがインテリアを担った。木造平屋建てで、延べ床面積約500平方㍍。気仙大工の意匠や地元の気仙杉を取り入れており、㈱長谷川建設が施工した。総工費は約4億円。
 屋根が大きくせり出す「せがい造り」によってひさしが深い独特の縁側空間を生み出した。JR陸前高田駅やアバッセたかたに近く、訪れる人の自然なコミュニケーションが図られることも期して、〝まちの縁側〟と名付けた。
 市観光物産協会による観光案内所、市社会福祉協議会による「くらし相談窓口」、NPO法人きらりんきっずが開設する子育て支援広場、就労継続支援B型事業所・あすなろホーム利用者による「はぴなろカフェ」が入り、市と各団体が管理を担う。
 建物内で開かれたオープニングセレモニーには約70人が出席。日本アムウェイ財団のピーター・ストライダム評議員会長は、「陸前高田の皆さんは、宮沢賢治の『雨ニモマケズ』にあるような不屈の精神を示してくれた。わたしたちも強い気持ちをもって継続的な支援をしていきたい」とあいさつした。
 戸羽太市長は「『ノーマライゼーションという言葉のいらないまちづくり』や、陸前高田の復興を象徴するような建物。気持ちも新たに一緒に頑張っていきたい」と述べた。
 隈氏は「明るくて開放的で、東北の中でも一番あたたかい場所の一つになったと思う。市民の皆さんたちには、これを絆にしてより強くつながってほしい」、皆川さんは「子どもたちがここで遊び未来をつくっていくんだなと想像すると、本当にすばらしく思う」と、市民らの活用に期待を寄せた。
 在札幌米国領事館のアンドリュー・リー総領事も祝いの言葉を述べたあと、入居各団体の代表者がそれぞれの活動への意欲を語り、屋外でテープカットとバルーンリリースを行って開館を祝った。
 観光案内所(午前8時30分〜午後5時30分)と、くらし応援窓口(平日午前10時〜午後4時)は27日からスタート。
 子育て支援広場(平日午前9時30分〜午後3時)は29日、はぴなろカフェ(午前10時〜午後2時30分)は2月1日から始まる予定となっている。