「協働まちづくり部」新設へ 令和2年度に組織再編 生涯学習課を市長部局に 大船渡

 大船渡市議会全員協議会(全協)は27日、議場で開かれ、市当局が市民と行政による協働のまちづくりを進めるため、令和2年度の組織再編で「(仮称)協働まちづくり部」を新設する考えを明らかにした。同部には、市民や地区との協働を所管する「(仮称)市民協働課」を新設するほか、現在教育委員会が所掌する生涯学習課の事務のうち、一部を除く文化とスポーツの事務を移管。中央公民館、三陸公民館、地区公民館も同部の管轄とし、協働のまちづくりを推進していく。

 市当局はこの日、▽市民協働の推進▽市空家等対策計画策定の基本的な考え方▽市職員の逮捕にかかる提言への対応状況等──の3項目を議員らに説明。
 このうち、市民協働の推進では、市民協働準備室が「地区運営組織の形成にかかる取り組み」を、総務部が「市民協働にかかる行政組織等の整備」をそれぞれ示した。
 人口減少や少子高齢化が進行する中、市は今後の持続可能なまちづくりには地域力の向上が不可欠であり、住民組織と行政が協働関係を構築することが望ましいと、各種取り組みを推進。平成30年度には、地区における新たな地区運営組織の形成、庁内への新部局創設といった今後の方向性を全協で示したが、議員からは慎重論が相次ぎ、当局側が実施を見送った経緯がある。
 今回提示した行政組織の整備は、こうした経緯や現在の取り組み状況なども踏まえて再検討したもの。市長部局に「(仮)協働まちづくり部」を新設し、市民協働の取り組みを強化する。
 現在、教育委員会の権限である生涯学習と社会教育、社会教育施設の中央公民館、三陸公民館、各地区公民館に関する事務は、市長部局の職員による補助執行とする。条例で首長の職務権限の特例が認められる文化とスポーツに関する事務(文化財保護、学校体育を除く)は、市長部局に移管。同部と教委が連携しながら、広く生涯学習と市民協働の推進に取り組む体制を整えていく。
 協働まちづくり部には、市民や地区との協働を所管する「(仮称)市民協働課」、生涯学習、社会教育、文化およびスポーツ、中央公民館や地区公民館等を所管する「(仮称)生涯学習課」を設置。企画政策部からは「市民文化会館(リアスホール)・図書館」を移し、「市民協働準備室」は廃止する。
 市民協働課と生涯学習課、中央公民館の職員は相互に兼務。市民や地区への対応などをスムーズにしていくため、互いの事務内容を共有する。
 教委生涯学習課の総務係と文化財係は「(仮称)教育総務課」として再編し、教委事務局内に置く。組織再編図は別表。
 また、住民が主体となってまちづくり活動に取り組む「地区運営組織」の形成に向けては、第1段階として、意識醸成を目的とした市民や公民館役員等を対象とする研修、地域づくり住民ワークショップを実施する。
 第2段階では、地区が目指す将来像、生活課題やその解決の方向性、地区で行う事業などをまとめる「地区計画」を作成し、計画の実現に向けた地区運営組織を結成。第3段階の運営に進む流れとなる。
 これまで市は、各種研修会の開催や有識者らによる検討などを実施。今月17日には、日頃市地区で地域づくり住民ワークショップが始まり、地区の課題や将来像などに関し、住民が話し合う場の創出と意識の醸成に向けた取り組みを進めている。
 2年度は、日頃市地区のワークショップを継続し、ほかの複数地区でも開催する見通し。地区計画の作成や組織の形成は各地区の状況に応じて進め、計画に掲載した将来像の実現、課題解決活動には、補助制度の創設も想定する。
 当局の提案に対し、議員8人が発言。「補助制度に対応できる範囲を定めるべき」「学校統合による空き校舎の活用も念頭に置いてほしい」「地域公民館の役割も重要。地区を構成する各地域で意見交換する場を設けて」などの意見、要望等があった。