36年の交通安全活動に光 交通栄誉章「緑十字銀章」 指導隊員の鈴木さんが受賞 陸前高田

▲ 戸羽市長㊧、杉下会長㊨とともに受賞を喜ぶ鈴木さん

 長年の交通安全活動を通じて安全・安心なまちづくりに貢献したとして、陸前高田市交通指導隊副隊長の鈴木信子さん(75)=矢作町=が交通栄誉章「緑十字銀章」を受賞した。隊員歴は同隊の中で最長の36年。東日本大震災にも負けず、特に子どもたちを交通事故から守るよう見守り活動に力を入れてきた。「大変でしたが、今まで頑張ってきて良かった」と笑顔を見せる。

 

 同章は警察庁長官と全日本交通安全協会長の連名表彰。今回県内の7人が受賞し、気仙からは鈴木さんが唯一選ばれた。
 表彰式は今月22日に東京都で開かれた第60回交通安全国民運動中央大会の中で行われ、鈴木さんは夫の亀吉さん(78)とともに出席。27日には、気仙地区交通安全協会の杉下吉身会長らとともに、戸羽太市長を表敬訪問し、受賞を報告した。
 鈴木さんは昭和58年4月、指導員の任命を受けた。交通安全にかかる活動に取り組み、平成20年には副隊長に就いた。
 家具店に勤め、仕事の合間を縫っての活動。大工の亀吉さんは、仕事のため盆と正月などしか自宅に戻らず、子育てにも追われた。
 こうした中、震災が発生し、生活が一変。家族は無事だったものの、津波で自宅が流され、4年余り仮設住宅で生活した。
 慣れない住環境からか家族からも心配されるほど腰痛に悩まされた。それでも指導員として街頭に立てば、不安を一切感じさせない持ち前の明るさ全開で組織をけん引してきた。
 心の支えとなったのは、日ごろ見守っている地元の小中学生の存在。「卒業を迎える児童から感謝の手紙をもらったこともあり涙が出るほどうれしかった。子どもたちの笑顔を見るのが何よりの励みでした」と振り返る。
 「家族や関係者をはじめさまざまな方々に支えられてここまで続けることができた。あと5年で80歳だけど、制服を着ると『しっかりしなきゃ』と自然と背筋が伸びる。もう少しだけ頑張ります」と思いを新たにする。