交流人口の拡大策探る 県際市町議会議長会 岩手・宮城両県議との懇談会 住田

▲ 岩手、宮城両県議や6市3町の議会関係者が集い、懇親会を開催

 岩手・宮城県際市町議会議長会(会長・菅原清喜気仙沼市議会議長)による「岩手県・宮城県議会議員との懇談会」は1月31日、住田町世田米のホテルグリーンベル高勘で開かれた。気仙両区の県議会議員や構成各市町の議長、副議長らが集まり、交流人口の拡大について意見交換。出席者は外国人観光客らの受け入れにつながる情報発信や、市町の枠を超えて観光できる連携の重要性など共通課題を再確認したほか、各市町独自の取り組みに理解を深めた。


 同議長会は岩手県の一関市と陸前高田市、大船渡市、平泉町、住田町に加え、宮城県の登米市、栗原市、南三陸町、気仙沼市の各市議会で構成し、平成19年2月に設立。懇談会は広域的な課題解決の情報交換などを行う場として定期的に開催している。
 構成各市町議会の議長、副議長らに加え、岩手県議会の岩渕誠(一関区)、佐々木朋和(同)、千葉盛(大船渡区)、佐々木茂光(陸前高田区)の各県議、宮城県議会の境恒春(気仙沼・本吉区)と伊藤吉浩(登米区)の両県議が出席した。
 菅原会長は「人口減対策を考える上で交流人口の拡大は重要」とあいさつ。引き続き、住田町の紺野勝利農政課長が講演を行い、同町で進めている「関係人口」の取り組みなどを紹介しながら、トレイルランニング大会の開催など震災以降に生まれた人的つながりを生かした地域活性化策を解説した。
 出席した市町議会関係者からは「昨年全線開通した釜石花巻道路の効果は」との質問も。紺野課長は「(近隣にインターチェンジがある)滝観洞は明らかに来訪者が増えた。半面、奥州市につながる国道397号の通行量は減っている」と述べた。
 また、県議側からは「外国人も含め、情報収集の多くはスマートフォン。デジタル戦略は宮城県側としても共通課題。今後も連携、発展を」との指摘も。復興対策交付金を生かしたハード整備など、さらなる観光客の受け入れ充実に期待を寄せる声も出た。
 引き続き各県議が1人ずつマイクを握り、今後の交流人口拡大に向けたポイントを語った。
 岩渕県議は震災ボランティアのつながりや産品購入など「関係人口」からの広がりに期待。佐々木朋県議は外国人や個人宿泊客の来訪増を見据えた情報発信の充実を強調した。
 佐々木茂県議は「内陸から人を呼び込むには、最後は道路の充実が重要。短時間で各地を回ることができるように、それぞれの市町が単発で訴えるのではなく、連携を」と発言。千葉県議は「それぞれの市町の観光スポットを回る1泊2日のツアーが定着しないものかと、ずっと考えていた。陸前高田市にできた津波伝承館などをゲートウェイとし、つながりが生まれてほしい」と期待した。
 境、伊藤両県議は、宮城県の観光戦略を解説。引き続き、各市町議会の関係者が地元で展開している交流人口拡大策を示し、自然や食文化を生かした取り組みや、特産品開発のアイデア、道路整備が進む中で「通過点」にならないための工夫などを発信した。
 陸前高田市議会の大坂俊副議長は、修学旅行生の民泊体験に触れ、28年度の360人程度から、本年度見込みでは2830人にまで増加した現状などを説明。今後の取り組みとして、関係人口を切り口とした施策が重要との認識も示した。
 大船渡市議会の熊谷昭浩議長は、同市独自の取り組みとして本州一を誇るサンマ水揚げを生かした「さんま焼き師」認定試験を紹介。さらに、学校統廃合に伴う空き校舎・校庭を利用した「BMXスタジアム」(仮称)の整備なども示した。
 住田町議会の瀧本正德議長は「種山は気仙両市の保育園児が訪れるようになっているが、交流人口拡大についてはこれから。山が好きな人、関心がある人を狙ってPRしていくことが重要と考えている」と述べた。
 いずれの自治体も人口減少が進む中、多くの出席者が「1市町だけで解決できるものではない。今後も協力を」と語るなど、意見交換を通じて連携の重要性を改めて確認。各自治体の魅力を共有しながら、相乗効果を図る取り組みの充実を誓い合った。