気仙でもマスク不足 新型肺炎の感染拡大受け 県は「過剰に心配せず」と啓発

▲ マスクの品薄状態が続いている大船渡市内のドラッグストア

 新型コロナウイルスによる肺炎の感染拡大を受けてマスクの需要が高まり、気仙でもドラッグストアなどで在庫不足の状態が続いている。インフルエンザの流行に加え、花粉の飛散も今後本格化することから買い求める人が多くなったとみられ、多くの店で入荷の見通しは立っていない。一方で、県は過剰に心配せず、咳エチケット、手洗いなど、インフルエンザ同様の予防策励行を呼びかけている。

 

インフル、花粉で需要加速

入荷見通し立たず

 

 大船渡市大船渡町の薬王堂大船渡茶屋前店(山本泰平店長)では、1月下旬に入ってマスクの売れ行きが伸び始めた。通常、サイズや枚数、機能別に約30種類のマスクを店頭に置いているが、完売する商品が出始めたことから、先週はじめからは「1家族につき2点限り」と購入数の制限を設けた。
 例年この時期はインフルエンザ流行を受け、マスクの売れ行きが伸びるが、今年は従来より2倍近い勢いで推移。家庭でも利用できるアルコール消毒液も欠品が目立っており、マスク同様、入荷時期は決まっていないという。
 山本店長(31)は「少量の入荷があってもその日のうちにすぐ売り切れになるような状況。入荷の情報をなるべく早くつかめるよう努力しているが、なかなか見通しは立てづらい。全国で同じような状況のため、お客さまにはもうしばらく待っていただきたい」と理解を求める。
 コンビニエンスストアや調剤薬局でもマスク不足が続いている。
 大船渡市のセブン─イレブン盛町店(佐藤健店長)では、先月28日からマスク各種の発注個数に制限がかかった。連日、未明に棚出ししたマスク商品がその日の朝に完売してしまう状態という。
 同店の菊池陽平副店長(25)は「もともとコンビニで多く売れるような商品ではなく、ドラッグストアにないから探しにきたというお客さまもいた。取り置きを頼まれることもあるが、お断りするしかない」と複雑な表情を浮かべる。
 医療機関や福祉施設などではこの時期、インフルエンザ感染予防などのため、職員のマスク着用が一般的で、需要は今後も続きそう。宿泊施設や飲食店でも従業員がマスクをつけて接客するところが見られ始めた。
 住田町内でデイサービスセンターの運営やヘルパー派遣などの介護保険事業を展開する町社会福祉協議会では、利用者と接する職員がマスク着用を励行。町内の量販店でも品薄状態が続いているが、一定期間の利用を見据えて事前に確保していたため、不足状態ではないという。
 金野千津事務局長は「インフルエンザ対策として、例年は3月ごろまでマスクを着用している。それよりも長く影響が続いた場合、どうなるか不安な面はある」と話す。
 県は、ホームページ上に新型コロナウイルス感染症に関する情報を随時載せている。現在、国内で広く流行していない状況を踏まえ、「過剰に心配することなく、通常の感染症対策に努め、冷静な対応を」と啓発している。