気仙4校体制は維持へ 高校再編の後期計画案 3〜7年度の統合・学級減なし 県教育委員会

 岩手県教育委員会は6日、新たな県立高等学校再編計画の後期計画(令和3〜7年度)案を公表した。気仙ブロックの大船渡、大船渡東、高田、住田はいずれも後期中の学級増減・統合を進めず、来年度からの4校13学級体制維持を目指す内容となっている。一方、少子化傾向が続く中、住田などの1学年1学級校はこれまで通り、入学者が2年連続で20人以下となれば翌年度から募集停止・統合とするほか、他校でも入学者が1学級定員(40人)を上回る欠員が生じた際は、学級減を検討する場合があるとしている。

 

少子化で生徒確保は厳しく

 

 後期計画では高校教育のさらなる充実に加え、少子化による生徒数の減少や盛岡ブロックへの志願者集中、地域社会を担う人材の育成といった課題をふまえた策定が求められている。
 県教委はこれまで、県内各地で地域検討会議などを開催。高校教育のあるべき姿や地域の実情に応じた学校・学科の配置について、首長や教育長、産業団体の関係者らと意見交換を重ねた。
 寄せられた声などをふまえ、県教委では後期計画の基本的な考えの一つに「生徒の希望する進路の実現」を掲げる。各ブロック内の学校規模をできる限り維持し、学びの選択肢確保を図った。
 令和2年度における気仙の全日制4校の定員は520人。平成31年度比では40人少なく、令和2年度までの前期計画に基づいて高田の普通科が4学級から3学級に1学級減となる。 
 後期計画案によると、気仙では3〜7年度中には統合や学級数の増減はなく、4校13学級体制が維持される見込み。定時制課程の大船渡・普通科も、これまで通り1学級40人。生徒の進路希望達成や産業振興を担う人材育成を見据え、充実を図るとしている。
 一方、今年3月の中学校卒業予定者数は467人で高校学級定員を大きく下回るほか、5年後には421人となる見通し。今後も定員割れ傾向が予想される中、県教委では「生徒数減少等に対応し、学級数調整(統合や学級減等)を行う場合がある」としている。
 前期計画と同様、住田をはじめとした1学級校は直近の入学者数が2年連続で20人以下となった場合は、原則として翌年度から募集停止とし、統合を進める。また、入学者が1学級定員を上回る欠員が出た学校では、学級減の検討を示唆している。
 これまでの地域検討会議では、小規模校のあり方が議論となり、存続を求める声が多く出ていた。住田町教委では住田高校の生徒確保につながる魅力づくりを支援してきた中、菊池宏教育長は「これまでの要望が、理解されたと受け止めている。今後も地域の努力は続けていかなければならず、現状を見つめ直しながらよりよい支援策を探っていきたい」と語る。
 県全体を見ると、盛岡ブロックでは、盛岡南と不来方の統合を進める。県南では胆江ブロックの水沢工と両磐ブロックの一関工、千厩の産業技術科を、宮古ブロックでは宮古商工と宮古水産、二戸ブロックでは福岡工と一戸をそれぞれ統合する内容となっている。
 県教委では、県ホームページなどで後期計画案の公表を始めた。7日から3月13日(金)までパブリックコメント(意見募集)を実施。地域検討会議や県民との意見交換会を経て、来年度中の計画策定を予定している。気仙各校の学級数などは別掲。