広げよう防災意識 東日本大震災津波伝承館で大槌、釜石両校の伝承活動紹介 陸前高田
令和2年2月11日付 7面

いわてTSUNAMIメモリアル講座「高校生による震災伝承活動報告会~釜石・大槌~」(東日本大震災津波伝承館主催)の展示の部は16日(日)まで、陸前高田市の東日本大震災津波伝承館セミナールーム(道の駅側)で行われている。大槌、釜石両校が取り組んでいる活動を紹介しながら、来館者に対して防災意識の向上と震災の風化防止を訴えている。
きょう「発表の部」
報告会は、震災の事実と教訓を伝承することの大切さを学んでもらおうと、同伝承館が企画している講座の一環。若い世代の伝承活動を紹介することで、震災を経験していない子どもたちにも当時の出来事や教訓を伝え、幅広い世代に防災意識を浸透させていこうと企画された。
大槌高校では震災2年後の平成25年、復興研究会が生徒84人で発足。現在は全校生徒159人中114人が所属し、「定点観測班」「他校交流班」「キッズステーション班」「まちづくり・防災班」「広報班」に分かれてさまざまな活動を行っている。
一方、震災の記憶を将来に継承する「大震災かまいしの伝承者」の養成を推進している釜石市では、昨年9月25日に鵜住居復興スタジアムでラグビーワールドカップのフィジー対ウルグアイ戦が行われた際、この伝承者に認定された釜石高校3年生3人が震災時の釜石の出来事を伝える活動を展開した。
海外からの来場者向けに英語の原稿も用意。試合当日はスタジアム敷地内で多くの人に震災のことを伝えるとともに、防災意識の向上を訴える「津波伝承うちわ」をスタジアム来場者に配布した。
伝承館に展示されているのは、大槌高復興研究会が神戸大学大学院工学研究科近藤民代研究室の協力を得ながら25年から撮影を行ってきた大槌町内の写真や、釜石高生徒による震災時の釜石の出来事を伝える活動、小学校で開催した防災教室の様子を伝えるパネルなど。初日から多くの来館者が県内外から訪れ、高校生らの多岐にわたる活動に触れた。
宮城県仙台市から来館した元小中学校教員の神﨑哲男さん(63)は震災後、津波で被災した石巻市内の学校に勤務した経験もあるといい、陸前高田市には何度も足を運んでいる。
かつて教べんを執ったことのある校舎も被災し、昔の教え子も津波で犠牲になったという神﨑さんは「(陸前高田の)まちなみもどんどん変わっていくが、こうした伝承施設があるというのは素晴らしい。高校生には、活動を続けて防災意識や震災について広めてほしいし、この子たちが大人になった時には、自分の子どもにも伝えていってほしい」と話していた。
展示時間は午前9時~午後5時。11日には「発表の部」が催され、両校の生徒たちがこれまでの取り組みについて発表する。時間は午後1時~2時。定員は先着30人で入場無料。
問い合わせは同館(℡47・4455)まで。