海中熟成酒どうぞ 広田湾で寝かせた地酒 「いわ井」で限定販売 陸前高田

▲ 地酒を海中で熟成させた「海中熟成酒」を販売しているいわ井

 陸前高田市高田町の酒と和雑貨の店「いわ井」(磐井正篤社長)は、同市の広田湾内に日本酒を沈め熟成させた「海中熟成酒」を限定販売している。市内で唯一、現品購入でき、海中で揺られ、まろやかさが増した地酒を楽しめる。同店は「品数に限りがあるので、興味のある方はお早めのお買い求めを」と呼びかける。

 

 同市では、広田湾遊漁船組合と合同会社「ぶらり気仙」による地酒の海中熟成プロジェクトが進められている。海中は安定した温度や潮の流れなどが酒の熟成を促し、まろやかな味わいにするとされ、カキやワカメの養殖施設に酒をつるす熟成体験サービスを観光客向けに提供している。
 この取り組みを受け、いわ井は店で扱っている地酒の海中熟成を同組合に委託。半年~10カ月程度海中で寝かせ、昨年12月から販売を始めた。
 現在、店頭に置いている熟成酒は、酔仙の吟醸酒「奇跡の一本松」(500㍉㍑)。価格は5380円(税込み、箱入り)。通常品と飲み比べられる2本セット(税込み6850円)も用意している。
 酔仙が醸造する日本酒20種余りを取りそろえている同店。新たに加わった熟成酒はお歳暮など贈答用として買い求める人が見られるという。
 同店では「潮の流れに揺らされたロマンあるお酒。味の違いを楽しめる2本セットもオススメです」とPRしている。
 一方、同組合とぶらり気仙は、日本酒に加え、地元産ワインなどの海中熟成にも取り組んでいる。昨年秋には独自性があり、今後発展が期待される先進的な取り組みとして「第13回産業観光まちづくり大賞」(全国産業観光推進協議会など主催)の金賞を受賞。同市のふるさと納税返礼品にも扱われるようになった。
 ぶらり気仙代表社員の鍛治川直広さん(40)は「いわ井さんに販売してもらうことで認知度向上にもつながり、とてもありがたい。熟成体験のプログラムを通じ、観光客を陸前高田に呼び込み、地域経済にも寄与できるよう今後も取り組みをどんどん発展させていきたい」と意気込んでいる。