迅速な避難につなげて 盛川水系 県が洪水浸水想定区域公表

▲ 県がホームページ上で公表を始めた洪水浸水想定区域図(一部抜粋)

 県は、「1000年に1度」の豪雨を想定した盛川水系の洪水浸水想定区域を指定し、ホームページ上で公表した。盛川の県管理分10・8㌔はほとんどの区間で浸水し、特にも盛町内は国道45号と川の間の地域は全域で浸水が想定されている。全国各地で豪雨災害が多発する中、ハード面の整備だけではなく避難意識向上などソフト面の対応も重要性が高まっており、県では浸水想定区域図の公表を「迅速な避難につなげてほしい」としている。

 

 洪水浸水想定区域は、豪雨・洪水時の円滑かつ迅速な避難を確保するとともに被害軽減を図ろうと、河川を管理する国や都道府県が河川氾らんの想定される区域や浸水の深さなどを示したもので、各市町村が作成する洪水ハザードマップの基本情報となる。
 平成27年に水防法が改正されたことなどを受け、県では想定できる最大規模の降雨を対象とした区域図公表に向け作業を進めている。
 指定は、「洪水により重大な被害が生じる可能性のある河川」として、洪水予報河川および洪水特別警戒水位への到達情報を通知・周知している河川(水位周知河川)で優先的に進めている。平成30年には、陸前高田市や住田町を流れる気仙川・大股川水系の洪水浸水想定区域が指定されており、盛川は県管理河川では18番目の指定となった。
 盛川の洪水浸水想定区域指定は今月12日付。策定にあたっては、想定最大規模「1000年に1度」として、盛川水系に流域平均で2日間で766㍉の降雨があったと設定。想定最大規模の区域をみると、盛川河口部から上流の日頃市町田代屋敷地内までほとんどの区間で0・5㍍未満〜5㍍未満の浸水が想定され、最大浸水深は赤崎町の岩手開発鉄道赤崎駅付近の3㍍未満〜5㍍未満となる。
 このうち盛町内は、国道45号と川の間の地域は全域で浸水が想定されており、住宅密集地も含まれていることから、防災・避難体制の見直しが急務となりそうだ。
 今回の指定では、浸水が予想される区域と深さに加え、浸水継続時間についても公表。さらに、河岸浸食や氾らん流に伴う「家屋倒壊等氾らん想定区域」も示している。
 近年頻発する豪雨害を受け、全国的に水害への危機意識は高まっており、ハード対策だけではなく避難の重要性が叫ばれている。
 県大船渡土木センター河川港湾課の佐藤秀三課長は「自分の住んでいる地域について把握し、迅速な避難につなげていただきたい」と話している。
 浸水想定区域は、県ホームページ(https://www.pref.iwate.jp/kendozukuri/kasensabou/kasen/bousai/1009822/1026880.html)でも確認できるほか、大船渡地区合同庁舎内の同センターでも閲覧可能。問い合わせは同課(℡27・9919まで)。