一般会計は223億円に 2年度当初予算案 大船渡市
令和2年2月21日付 1面

大船渡市は20日、令和2年度の各種会計当初予算案を発表した。一般会計は222億6500万円となり、現年度当初比12億5900万円(5・4%)の減。予算規模は復興関連事業の進ちょくに伴って現年度当初を下回り、東日本大震災後は最小となった。市は最終年度を迎える現行の市総合計画後期基本計画と市復興計画の完遂に向けて各種事業を推進するとともに、第2期まち・ひと・しごと創生総合戦略登載事業も展開し、将来都市像「ともに創る 三陸の地に輝き躍動するまち 大船渡」の実現を目指す。
現年度比で5・4%減
2年度は、簡易水道事業特別会計が「簡易水道事業会計」、漁業集落排水事業特別会計と公共下水道事業特別会計が「下水道事業会計」と、地方公営企業法を適用した企業会計(複式簿記)に移行。特別会計は9事業から6事業となった。
新年度の一般会計と6特別会計の合計額は318億2628万円で、現年度当初比16億208万円(4・8%)の減。
一般会計の歳入をみると、額が最も多いのは地方交付税の67億3152万円。次いで、市税の41億6134万円、繰入金の30億9060万円、国庫支出金23億4784万円など。
地方交付税と国庫支出金は、震災復興にかかる特別交付税や水産施設災害復旧事業費負担金などの減に伴い、いずれも現年度当初に比べ減少。一方、市債は19億160万円で、旧大船渡消防署と旧崎浜小の解体事業にかかる公共施設等除却債によって増加した。
市税は、現年度当初比4770万円(1・1%)の減。個人市民税は15億96万円で同3792万円の減、法人市民税は3億1803万円で同5821万円の減、固定資産税は18億6051万円で同5587万円の増。
市税の減について、市は「個人市民税は、所得がだいぶ落ち着いてきたことが要因。法人市民税は昨年の税改正で減額になった分が、新たに設けられた法人事業税交付金として県から補てんされた」としている。
歳入の自主財源は88億734万円(39・6%)、依存財源は134億5766万円(60・4%)。現年度当初に比べ、自主財源の割合が1・9ポイント上昇。
歳出で最も多く割合を占めるのは、民生費59億5852万円。このほか、総務費40億2458万円、土木費32億4121万円、公債費20億4455万円、教育費17億2393万円、衛生費15億3826万円などとなっている。
各種事業の推進に充てる投資的経費は、33億1711万円で歳出全体の14・9%を占める。
地方債残高は232億4439万円で、同3億2508万円の減。交付税措置などを除いた実質負担見込みは69億9656万円となり、人口(今年1月末現在、3万5775人)1人当たりの負担は19万6000円と同1万円増えた。
総合計画大綱別にみると、①「豊かな市民生活を実現する産業の振興」に22億7917万円、②「安心が確保されたまちづくりの推進」に150億8124万円、③「豊かな心を育む人づくりの推進」に20億3016万円、④「潤いに満ちた快適な都市環境の創造」に25億8334万円、⑤「やすらぎある安全なまちづくりの推進」に19億2218万円、⑥「自然豊かな環境の保全と創造」に17億4922万円、⑦「自立した行政経営の確立」に61億8004万円を計上。
復興計画登載事業は54事業、22億6472万円で現年度当初より14事業、23億6982万円減った。東日本大震災生活再建住宅支援(1億4493万円)、中小企業融資あっせん(2億9200万円)、中赤崎地区道路新設・改良(6億1101万円)などの各事業を進める。
第2期まち・ひと・しごと創生総合戦略登載事業は69事業、6億8332万円。夏イチゴ産地化(7636万円)、教育用コンピュータ整備(1億599万円)、地域子育て支援センター(4014万円)、路線廃止代替バス運行支援(2700万円)などに取り組む。
新規事業は66事業、9億円。現年度当初より6事業増えたが、予算額では5億1200万円減った。
大船渡町の大船渡駅周辺地区における「被災市街地復興土地区画整理事業(清算)」(5078万円)、私有林の適正管理などを目的に森林整備等を行う「新たな森林経営管理事業」(3097万円)、0歳から高校卒業までを対象とした医療費助成の所得撤廃(8月から)を行う「子ども医療費助成事業(所得制限撤廃分)」(1000万円)、妊産婦の産前産後サポート・産後ケア事業を試行的に実施する「子育て世代包括支援センター事業」(80万円)などを盛り込んだ。
特別会計は魚市場事業2億3427万円、介護保険介護サービス事業勘定1332万円、同保険事業勘定42億8297万円、後期高齢者医療4億6600万円、国民健康保険事業勘定43億682万円、同診療施設勘定2億5791万円。企業会計の簡易水道事業は4億1601万円、下水道事業は23億6077万円、水道事業会計は16億4199万円。
戸田公明市長は、「新年度は『復興の総仕上げ』とともに、第2期まち・ひと・しごと創生総合戦略で目指す持続するまちづくりに頑張っていく、バトンタッチの年となる。これらをより意識した取り組みを進めていく」と述べた。
各種予算案は、21日開会の市議会3月定例会に提出される。