「課題対応へ一歩先を」 神田町長が施政方針演述 住田町議会3月定例会

▲ 施政方針演述で各種施策の推進を掲げた神田町長(手前)

 住田町議会3月定例会は25日、開会した。会期を3月6日(金)までの11日間と決め、神田謙一町長の施政方針演述や3議員による一般質問が行われた。神田町長は、持続可能なまちづくりに向けて「現状を保つことではなく、新たな課題に対応するために常に一歩先を行く」と述べ、各種施策実行への決意を込めた。一般質問は26日も午前10時から行われ、2議員が登壇する。
 神田町長は、厳しい財政状況や人口減少、高齢化など山積する課題解決に向け、町長就任時から掲げる「医・食・住」の充実を見据えた重点施策を新年度からの総合計画に盛り込みながら「基本と変革」を進めると強調。「『支え合う共生の町』を実現するために、将来をしっかりと見据えながら着実に歩みを進める」と述べた。
 新年度からの町総合計画では「豊かな緑と水に育まれ 安らぎとにぎわいが調和する 共生のまち 住田」を基本理念とし、誰もが活躍できる地域共生社会の実現が柱であると説明。地域一丸となった政策推進に意欲を見せ、人口対策や生活環境対策、所得対策として盛り込んだ各種振興策の方向性も示した。
 演述の結びには「現状を保つことではなく、新たな課題に対応するために常に一歩先を行くということ。常に新たな挑戦に立ち向かう大きな志がなければ、町政の発展は望めない。しっかりと現状を把握し、そこから導き出される課題に対応した施策を実行する『根拠に基づいた政策運営』が大切」と述べ、理解と協力を求めた。
 引き続き、菊池宏教育長が教育行政演述。文部科学省研究開発学校指定における新教科「地域創造学」の取り組みについて、4年間の期限が切れる令和3年度以降の継続を目指す方針を示した。
 さらに児童・生徒数の減少が続く中、町内2校体制が続く中学校のあり方に関しては「2年度中に意識調査などの実施や意見を聞く機会を設け、一定の方向性とスケジュールを示すことができるように検討を進めたい」と述べた。
 一般質問には水野正勝、荻原勝、阿部祐一(いずれも無所属)の3議員が登壇。このうち、水野議員は「社会体育館や生涯スポーツセンターのトレーニング・リハビリ機器の充実に加え、インストラクター配置にも取り組むべき」とし、当局の見解を質した。
 菊池教育長は社会体育館トレーニング室の機器は老朽化で撤去し、各種大会時の待機場所などとして活用している現状を説明。生涯スポーツセンターでは本年度、延べ1000人を超える利用があったことに触れ「ランニングや筋力向上など10台の機器を設置しているが、新たな機器の設置は難しい」と述べた。
 荻原議員は、国道107号と340号の交差点付近にある「世小の森公園」の利活用について説明。340号の改良工事や鉄塔設置で環境が変化した中、同公園の整備計画策定を求めた。
 神田町長はこれまで、同公園は地域住民の憩いの場としての利用や緊急時の避難場所など、多様な目的で活用されている現状を説明。計画策定には「地域住民の考えの下で利用がなされることで、より良い利用につながる」と述べ、否定的な見解を示した。一方で同公園に限らず住民主体の環境整備活動が定期的に行われている現状も挙げながら、持続可能な管理体制の後押しに意欲を示した。
 林業と産業の振興を取り上げた阿部議員は、町観光協会などによる物産館整備構想の現況を追及。神田町長は「一般的に物産館はまちの魅力を総合的に発信できる機能としてとらえているが、採算性が大きな課題」と指摘した。
 本年度は協会側から企画提案を受け、採算性や運営の確実性を重視し、具体的な数値を交えて協議を続けている現状を説明。「拙速で進めるものではなく、協会側も実験的な取り組みを重ねながら堅実経営をしたい意向も示している。持続可能な取り組みとして一緒に進めたい」とし、具体的な整備時期などの言及は避けた。
 今定例会の26日以降の日程次の通り。
 ▽26日=本会議(一般質問)▽27日=休会▽28日=本会議(議案審議)▽29日〜3月1日=休会▽2〜4日=予算審査特別委員会▽5日=休会▽6日=本会議(議案審議)