長部地区に工場整備へ 健康食品の原料製造 陸前高田(別写真あり)

▲ 協定書を手にする戸羽市長㊨と村瀬代表取締役

埼玉の企業が進出、来春操業

 

 水産物を使った健康食品などの原料製造を手がける埼玉県坂戸市の㈲バイオケム(村瀬宜也代表取締役)が、陸前高田市気仙町の長部地区に新工場を建設することが決まり、27日、市と同社との企業立地に関する協定締結が行われた。建設地は防災集団移転促進事業(防集)により市が買い取った移転元地で、来年春の操業開始を目指す。
 締結式は市役所で行われ、村瀬代表取締役と戸羽太市長が協定書にそれぞれサインした。
 バイオケムは平成6年に設立。未利用魚を有効活用した高付加価値製品化を掲げ、サケの白子から抽出した医薬品原薬や化粧品、健康食品の原料を製造している。現在は埼玉県内2カ所と釜石市の1カ所に工場を構えている。
 新工場の建設地は長部漁港西側の移転元地で、そばには東日本大震災後再び整備された水産加工団地がある。
 5346平方㍍の敷地に、鉄骨造平屋建て、広さ920平方㍍の工場と木造平屋の事務所を整備する。経産省の「津波・原子力災害被災地域雇用創出企業立地補助金」を活用する。
 今年5月に着工し、12月から試験操業に入る。来年4月を見込む本格稼働後、老朽化が進む釜石工場と埼玉県の川越工場は閉鎖・休止する計画。生産拠点を陸前高田市と埼玉県の計2カ所に絞り、効率化を図る。
 新工場の従業員は釜石、川越両工場の計8人を配置し、業況に応じて地元の雇用創出も図ることとしている。健康食品などの原料製造に当たり、将来的には品質管理部門の設置も見据える。
 村瀬代表取締役は「原料供給業者となる地元の水産加工会社と連携し、サケの白子以外の未利用資源の活用も考えていく。大学などで化学系を専攻し、陸前高田で働きたいというUターン者は必ずいると思う。そういった人たちの受け皿ともなりたい」と雇用創出への意欲をみせた。
 戸羽市長は「そばに水産加工団地があり、まさにこの地域だからこそ成り立つ企業に来ていただき、大変感謝している。素晴らしいスタートを切れるよう市としてもサポートしていく」と話した。