小中学校は3日から休校 春休みまで異例の措置 新型ウイルス感染防止で 気仙

▲ 休校が決まり、道具箱など大きな荷物を抱えて下校する児童たち=末崎小

 新型コロナウイルスの感染拡大防止策として、安倍晋三首相が27日、全国すべての小中高校や特別支援学校に3月2日(月)から春休みまでの休校を要請したことを受け、気仙の教育現場も対応に追われた。3市町の小中学校は、指導周知を徹底させるため、2日は通常通りの登校とし、3日(火)から休校とする。保護者は休校措置の必要性に理解を示しつつも、突然の要請に戸惑いを見せている。

 

首相要請受け対応に追われる

 

 安倍首相は新型コロナウイルスの対策本部会合で、多くの子どもたちや教員が日常的に集まることによる感染リスクなどを挙げ、臨時休校の要請を表明。入試や卒業式などの学校行事については、必要最小限の人数で開催するなど、万全の対策を講じるよう求めた。

 

■小中学校対応

 

 3市町教委では28日に校長会議を開き、3月3日からの休校を決定。2日は登校日とし、児童生徒への休校期間中における生活面などの指導、周知徹底を図る。保護者には「児童生徒の不要不急の外出は自粛し、自宅待機するよう指導を」と呼びかける。
 大船渡市の小松伸也教育長は「首相自らコメントを発信しており、学校という集団生活の場がコロナウイルスに冒されると感染が拡大してしまうと懸念している。しかも子どもたちであり、その大切な命を守らなければならないと考えれば、今回の対応はやむを得ないと思う」と話す。
 末崎小(大和田典明校長、児童143人)は3月中、自宅や親類宅など児童が基本的に過ごす場所を確認し、休みの間の安全な過ごし方を連絡したうえ、担任教諭が週に1度、家庭訪問する方針。学習の遅れが生じないよう宿題も出して家庭学習させることとしている。
 陸前高田市教委では小学6年生、中学3年生については、必要な学習内容は履修済みのため進学には問題ないとする。ほかの学年については、新学期に残りの学習を教え直す可能性も示唆する。
 中学校の部活動も行わない。この時期に内陸からの遠征も多いスポ少は、感染拡大の温床となる可能性が高いため自粛を要請する。
 大船渡一中への編入統合に伴って本年度閉校する日頃市、越喜来、吉浜の3中学校では、3月14日(土)に最後の卒業式を予定しており、いずれも規模を縮小して開催する。同18日(水)には、新年度の運動会に向けた合同練習を第一中で行うこととしていたが中止とした。
 また、20日(金)は日頃市、21日(土)には越喜来、22日(日)には吉浜でそれぞれ市主催の閉校式が予定されており、現在対応を協議している。
 大船渡市の大船渡、末崎、赤崎、綾里の4中学校、陸前高田市の高田東中学校、住田町の世田米、有住の両中学校は、4月に行うこととしていた東京方面への修学旅行を延期。高田東中は11月に実施することとしているが、時期、行き先については状況次第で変更する可能性も視野に入れ検討していく。

 

■県立高、支援学校

 

 県教委では各県立高校に対して、文科省通知を踏まえた対応を指示。休校については、原則として3月2日から春季休業に入るまでの間で一斉休校とし、同日から5日までの間、私物の持ち帰り等のため必要に応じて登校日を1日程度設けても構わないとしている。
 一方、気仙4校は1日に予定している卒業式を実施する予定。在校生は送辞などを行う生徒を除いて原則出席させないこととし、来賓の出席者も最小限に絞る方向だ。
 特別支援学校は、放課後等デイサービスの受け入れ体制など、学校長が特別な事情によりやむを得ないと判断する場合には休校開始日を5日まで延長することができる。
 このほか、休校中、春季休業中は基本的に自宅で過ごすよう指導することや、部活動は禁止とすることを指示。進路指導等で個別に生徒を登校させるのは学校判断としている。 
 また、県教委ではスポーツ庁、文化庁、文科省からの通知を受け、県中体連、県中文連、県高体連、県高文連、県高野連に対して大会や演奏会、公演、強化練習、合同練習、各種講習会、県外遠征など、多数の生徒が集まるようなイベントには中止を要請した。

 

■保護者の声

 

 首相要請を受け、小学5年生と4年生の子どもを持つ大船渡市大船渡町在住の50代男性は「祖父母など子どもを見てくれる人がいればいいが、そうでない場合はどうなるのか。また、息子はスポーツ少年団に入っているが、休み中の練習や他校との試合などはどういった対応になるのかなど、急なことなのでいろいろと追いつけない部分がある」と、戸惑いを見せる。
 小学4年生と6年生の子どもを持つ陸前高田市米崎町の女性は「子どもの健康が第一なのでやむを得ないことだが、上の子にとってはお世話になった先生や在校生と過ごす最後の日々がなし崩し的になくなってしまい、残念。6年生を送る会も中止になり、離任式もできるかどうか。せめて卒業式や修了式で、きちんと今年1年の区切りをつけさせてあげたい」と話す。 
 住田町上有住在住で、大船渡市盛町内に勤務する30代女性は「判断は受け入れるが、これからのことを考えると不安。子どもはまだ小学1年生で近くに祖父母もいないので、一日中自宅に置いておくことはなかなかできない」と、不安を口にする。